
3分でわかる!この記事の要点
- 結論
- 「5年以内に仕事がなくなる可能性が非常に高い」と答えた割合は、AIを頻繁に使う人6.3%、あまり使わない人3.1%と約2倍の差
- 理由
- 仕事を速くする道具が、「自分は必要なくなるのでは」という疑問も生みやすいと分析されています
- アクション
- AIの腕を磨くだけでなく、上司と「AIで仕事がどう変わるか」を話す機会をつくってみましょう
目次[閉じる]
AIをよく使う人ほど、不安を抱えている?
文章の下書き、資料の要約、データの整理。AIを仕事に取り入れる人は急速に増えています。「使いこなせば、将来の心配は減るはず」と考える人も多いかもしれません。
ところが、米国の調査会社ギャラップ社が2026年9月9日に公表した分析では、逆の傾向が示されました。AIを毎日または週に数回使う人のうち、「5年以内に自分の仕事がなくなる可能性が非常に高い」と答えた人は6.3%。月・年に数回程度しか使わない人の3.1%に対し、約2倍でした(2026年第1四半期)。
一方で、この不安を和らげる手がかりも見えてきました。それは、「会社が自分を気にかけてくれている」「職場で尊重されている」という実感でした。
どんな調査だったのか
調査の方法
- 実施
- 米ギャラップ社(分析・執筆はクリストス・マクリディス氏)
- 対象
- 米国の働く人。確率抽出によるパネル調査で、米国の人口構成に合うよう重み付け
- 期間
- 2023年、2024年、2025年第2四半期、2026年第1四半期の4回のウェブ調査
- 規模
- 延べ約3万人分の回答(約3割は複数回の調査に回答)
- AI利用の区分
- 「頻繁に使う」=毎日または週に数回、「あまり使わない」=月に数回または年に数回程度
- 尋ねたこと
- 新しい技術・自動化・AIによって、5年以内に自分の仕事がなくなる可能性をどう見ているか。あわせて、仕事への熱意(エンゲージメント)、燃え尽き、仕事の満足度、転職活動の有無、職場環境の評価など
わかったこと① 頻繁に使う人ほど「仕事がなくなる」と感じている
「5年以内に自分の仕事がなくなる可能性が非常に高い」と答えた人の割合は、次のとおりでした。
| 調査時期 | AIを頻繁に使う人 | あまり使わない人 |
|---|---|---|
| 2023年 | 4.4% | 3.1% |
| 2024年(差が最大) | 8.7% | 2.0% |
| 2025年第2四半期 | 5.6% | 2.6% |
| 2026年第1四半期 | 6.3% | 3.1% |
2026年初めの時点で、頻繁に使う人の割合はあまり使わない人の約2倍です。また、「ある程度」も含めて「仕事がなくなる可能性が高い」と答えた人は、働く人全体の約19%(およそ5人に1人)でした。
記事では、AIを使うほど不安が高まりやすい理由を次のように説明しています。
作業を速くしてくれる同じ道具が、その作業をしている自分は不要になりつつあるのでは、という疑問も生む
――Gallup(2026年9月9日)
毎日AIに触れる人ほど、AIに何ができるのかを実感しやすい、ということかもしれません。
わかったこと② 不安は熱意・燃え尽き・転職意向と結びついていた
同じ人を時間を追って比べたところ、「仕事がなくなるかもしれない」と感じていた時期には、次のような傾向が見られました。
- 仕事への熱意が低い
- 燃え尽きの傾向が強い
- 仕事への満足度が低い
- 積極的に転職活動をしている割合が約4.1ポイント高い
ただし、これは「不安が燃え尽きを引き起こした」と証明したものではなく、両者が同時に見られたという関連を示すものです。
わかったこと③ 「気にかけてもらえている」「尊重されている」職場では、結びつきが弱かった
AIを頻繁に使っていることと不安の結びつきは、職場の状況によって大きく違いました。
- 「会社が自分の健康や幸せ(ウェルビーイング)を気にかけてくれている」と感じている人では、この結びつきが約11.1ポイント小さかった
- 「職場で尊重されている」と最も高く評価した人では、約6.8ポイント小さかった
この差は、ほかの職場要因を考慮しても、同じ人を時間を追って見ても確認されたといいます。
さらに興味深いのは、AIの影響を受けやすい職業かどうかだけでは、不安の差を十分に説明できなかったことです。「仕事がなくなる」と心配している人とそうでない人を比べても、その仕事がAIの影響を受けやすい度合い(AI曝露度)には小さな差しかありませんでした(数値が大きいほど影響を受けやすいことを示す指標で、2026年第1四半期は心配している人0.49、していない人0.44)。記事では、同じ客観的なリスクでも、職場の状況や上司の関わり方によって受け止め方が大きく変わることを示唆していると述べています。
この調査の限界
- 米国の働く人を対象とした調査で、日本にそのまま当てはまるかはわからない
- 実際に仕事を失ったかではなく、本人の「見通し」を尋ねたもの
- 職場環境は働く人の評価で、会社の具体的な制度を測ったものではない
- 「AIを使ったから不安になった」「職場の支えが不安を減らした」という因果関係まで確かめたものではない
- 研究者による査読論文ではなく、調査会社による分析記事
今日から実践できる具体的な対策(提案)
働く人として
- 上司との1対1の場で、AIの話題を出してみる
- 「AIでこの作業が早くなった分、次に何を任されたいか」を言葉にしておくと、自分の役割の見通しが立ちやすくなります
- 「AIに任せる作業」と「自分が担う判断」を書き分ける
- AIが代わりにしているのは仕事の一部であることが多いものです。自分にしかできない部分を見える形にしておきましょう
- 熱意の低下や疲れのサインに気づく
- 仕事への意欲が落ちている、疲れが抜けないと感じたら、不安を一人で抱えず、上司や信頼できる人、必要に応じて専門家に相談を
上司・チームリーダーとして
- AI導入を「ツールの説明」だけで終わらせない
- ギャラップ社は、AIの導入をコミュニケーションの課題として扱うよう提言しています。仕事や役割がどう変わるのかを、言葉にして伝えましょう
- AIをよく使うメンバーほど、1対1の対話を優先する
- 調査では、頻繁に使う人ほど不安が高い傾向がありました
- 在籍期間の短いメンバーには、伝え方を調整する
- ギャラップ社は、入社して間もない人に合わせたメッセージの工夫も挙げています
- 「気にかけている」「尊重している」を行動で示す
- 体調や負担を気にかける一言、意見への耳の傾け方など、日々の関わりが支えになる可能性があります
- エンゲージメントの変化を早めのサインとして見る
- 熱意の低下は、不安の表れかもしれません
まとめ
米ギャラップ社が延べ約3万人分の回答を分析した結果、AIを毎日または週に数回使う人は、あまり使わない人に比べ、「5年以内に仕事がなくなる可能性が非常に高い」と答える割合が約2倍でした(2026年初めで6.3%対3.1%)。この不安は、仕事への熱意の低さ、燃え尽き、転職活動と結びついていました。
一方、「会社が自分のウェルビーイングを気にかけてくれている」「職場で尊重されている」と感じている人では、AI利用と不安の結びつきが弱くなっていました。
AIを使いこなすことだけが安心につながるわけではなさそうです。道具が変わる時代だからこそ、上司や職場との信頼関係が、働く人の心の支えになるのかもしれません。
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
出典
- Makridis C. “Using AI More Does Not Reassure Workers, Managers Do.” Gallup(2026年9月9日)
Gallup記事を読む(英語)
