頭が疲れたあとの20分、呼吸法をした日は前向きな気分が保たれた―立命館大学の研究

頭が疲れたあとの20分、呼吸法で前向きな気分が保たれた(立命館大学・大学生20人の研究)

3分でわかる!この記事の要点

結論
頭を使って疲れたあと、20分の呼吸法をした日は、ただ横になって休んだ日より前向きな気分が保たれていました
理由
同じ大学生20人が両方を体験して比べた研究で、集中力ややる気の感じ方も呼吸法の日のほうが高めでした
アクション
疲れた休憩時間に、「5秒吸って10秒吐く」ゆっくりした呼吸を取り入れてみましょう
目次[閉じる]

疲れたとき、あなたはどう休んでいますか?

長い会議のあと、試験勉強のあと、細かい作業が続いたあと。頭がぼんやりして、気分もなんとなく沈む。そんなとき、ソファで横になったり、スマホを眺めたりして過ごす人も多いのではないでしょうか。

その休憩時間の「過ごし方」によって、気分の戻り方が変わるかもしれない。そんな結果を、立命館大学スポーツ健康科学部の研究チームが報告しました。頭を使って疲れたあとに呼吸法をすると、ただ休むだけのときより前向きな気分が保たれていたのです。研究は国際学術誌『Stress and Health』に2026年10月22日に発表されました。

これまでの呼吸法の研究の多くは、落ち着いた状態の人を対象にしたものでした。この研究は、実際に「頭が疲れた状態」をつくってから呼吸法を試した点が新しいところです。

どんな研究?

同じ人が「呼吸法の日」と「休むだけの日」を体験

参加したのは、健康な大学生20人(男女10人ずつ、平均20.8歳)。瞑想や呼吸法の経験がない人たちです。

1人ひとりが、1週間以上あけた別々の日に、次の2つを体験しました。どちらを先にするかはランダムに決めています。同じ人の中で2つの過ごし方を比べるので、体質や性格の違いに左右されにくいのが、この方法のよいところです。

呼吸法の日
頭を疲れさせる作業のあと、20分の呼吸法
休むだけの日
同じ作業のあと、20分間ベッドで仰向けになって休む(ふだんどおりの呼吸、眠らない)

「頭を疲れさせる作業」とは

使われたのは、色の名前の文字(たとえば青い色で書かれた「あか」)を見て、文字の意味のほうのキーをすばやく押し続ける課題です。約2.5秒ごとに次の文字が出てきて、30分間で720回くり返します。見た目の色につられないよう、ずっと注意を払い続ける必要があり、頭がかなり疲れる作業です。

実際、作業のあとには、疲れの感じ方が大きく上がり、集中力ややる気の感じ方、前向きな気分が下がっていました。

呼吸法のやり方

呼吸法の日は、次のリズムを20分間くり返しました。

  1. 鼻から5秒かけて吸う
  2. 口から10秒かけてゆっくり吐く
  3. 5秒、息を止める

前半の10分は仰向け(膝を立てて、手を肋骨の下からお腹のあたりに当てる)、後半の10分は椅子に座って同じ呼吸を続けます。リズムは1秒ごとに鳴るメトロノームの音に合わせました。吐く時間を吸う時間の2倍にして、お腹がふくらむように横隔膜を使う「腹式呼吸」です。

わかったこと

前向きな気分が、下がったままにならなかった

「わくわく」「やる気がある」といった前向きな気分の点数(10〜60点)は、作業のあとにどちらの日も下がっていました。そこから20分を過ごしたあと、2つの日で違いが出ました。

  20分後の前向きな気分
呼吸法の日 31.0点(作業の前と比べて、はっきりした差がない程度まで戻っていた)
休むだけの日 27.1点(作業の前より低いまま)

終わったときの前向きな気分は、呼吸法の日のほうがはっきり高くなっていました。

集中力・やる気の感じ方も高め

作業のあとに下がった「集中できそう」「やる気がある」という感じ方も、20分後には呼吸法の日のほうが高めでした(どちらも100点満点で、呼吸法の日81.2点、休むだけの日68.6点)。

横隔膜がよく動くように

超音波で調べると、呼吸法のあとには、息を吸ったときに横隔膜が下がる幅が大きくなっていました(右側で2.6cmから3.3cmへ)。休むだけの日には変化は見られませんでした。研究チームは、呼吸法で横隔膜がしっかり使われたことを示している可能性があると考えています。

疲れや嫌な気分は、休むだけでも回復

一方、疲れの感じ方や、イライラ・不安などの嫌な気分は、呼吸法の日も休むだけの日も、同じように和らいでいました。20分休むこと自体に、回復の力があるということです。そのうえで、前向きな気分を取り戻すところに、呼吸法ならではの違いが表れていました。

研究チームは、呼吸法がストレスのかかる場面で気分を高めるための、手軽で取り入れやすい方法になりうると述べています。

仕事や勉強の合間の「休憩」を見直すヒントに

この研究のきっかけは、仕事や勉強、スポーツで頭を使ったあとに、多くの人が回復の方法を求めているという点でした。休憩を「何もしない時間」から「呼吸を整える時間」に変えることは、道具もお金もいらず、席を立たなくてもできる工夫です。後半の10分は椅子に座って行っているので、オフィスや自宅のデスクでも試しやすい形です。

今日から実践できること:Zeverisからの提案

1. 疲れたと感じたら「呼吸の休憩」を
会議や勉強のあと、頭がぼんやりしてきたら、スマホを見る代わりに呼吸に意識を向ける時間をとってみましょう。
2. 「5秒吸って、10秒吐く」を基本に
鼻からゆっくり吸って、吸う時間の2倍をかけて口から細く長く吐きます。吐く息を長くするのがポイントです。
3. 手をお腹に当てて
手を肋骨の下からお腹のあたりに当てて、吸うときにお腹がふくらむのを感じながら呼吸しましょう。
4. 椅子に座ったままでOK
研究でも後半は座って行っていました。デスクでも、背もたれに軽くもたれた楽な姿勢で始められます。
5. まずは短い時間から
研究では20分でしたが、慣れないうちは5分ほどから始めて、少しずつ延ばしてみましょう。時間に余裕がある日は、20分じっくり試すのもおすすめです。
6. 苦しいときは無理をしない
息を止める5秒が苦しければ、止めずに「吸う・吐く」だけでもかまいません。めまいや息苦しさを感じたら、すぐにふだんの呼吸に戻しましょう。運転中や歩きながらは避けてください。

まとめ

立命館大学の研究で、頭を使って疲れたあとに20分の呼吸法をした日は、ただ横になって休んだ日より、前向きな気分が保たれていました。集中力ややる気の感じ方も高めで、横隔膜もよく動いていました。

疲れや嫌な気分は、休むだけでも回復します。そこにひと工夫、ゆっくり長く吐く呼吸を足すことで、「よし、もうひと頑張り」と思える気分を取り戻しやすくなるかもしれません。次の休憩は、深い呼吸から始めてみませんか。

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

出典

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry