寝る前の音楽で、眠りの質がよくなった―研究のまとめでわかった「曲の選び方」と「聴く時間」

3分でわかる!この記事の要点

結論
寝る前に音楽を聴くと、眠りの質がよくなることが、多くの試験のまとめで示されています
理由
13の試験・1,007人をまとめたレビューで、眠りの質のスコアがはっきり改善していました
アクション
寝る前の30〜45分、歌詞のないゆったりした曲を、毎日続けてみましょう
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寝る前の音楽、本当に眠りを助けている?

なかなか寝つけない夜、なんとなく音楽をかけている。そんな人は少なくありません。では、寝る前の音楽は本当に眠りを助けているのでしょうか。

この問いには、これまで世界中で多くの試験が行われてきました。そうした研究をまとめて評価したのが、医療の分野で信頼の高い「コクラン(Cochrane)」のレビューです。デンマークのオーフス大学などの研究チームが2022年にまとめたもので、眠りに悩みのある大人が音楽を聴くと、眠りの質がよくなることが示されています。

さらに2025〜2026年には、高齢者を対象にした新しいまとめや、「どんな曲が眠りに向いているか」を整理した研究も出ています。この記事では、この3つの研究から、寝る前の音楽の「選び方」と「聴き方」を紹介します。

研究① 13の試験・1,007人のまとめ(コクラン・レビュー、2022年)

どんな研究?

対象
眠りに悩みのある18〜83歳の大人、合計1,007人
集めた試験
音楽を聴くグループと聴かないグループを比べた13の試験(ランダム化比較試験)
聴き方
録音した音楽を1日25〜60分(平均36分)。多くの試験では、寝るときに聴いてもらっていました
期間
3日〜3か月
比べた相手
何もしない、またはいつも通りのケア

どんな曲が使われた?

使われた曲はさまざまです。西洋や中国のクラシック、ニューエイジ、子守歌、アンビエント(環境音楽)、ジャズ、ポップスの懐メロ、仏教音楽、ペルシャの伝統音楽などがありました。研究者が選んだ曲でも、本人がある程度選んだ曲でも、結果に差は見られませんでした。

わかったこと

眠りの質を測るスコア(PSQI。0〜21点で、低いほどよく眠れている)が、音楽を聴いたグループで平均2.79点よくなっていました(10の試験・708人)。研究チームは、この結果の確かさを「中等度」と評価しています。寝つきまでの時間や睡眠時間がよくなる可能性も示されたほか、不安がやや和らいだという結果も出ています。副作用の報告はありませんでした。

研究② 高齢者では「毎日」「30〜45分」でより大きな改善(2026年)

2026年2月には、武漢音楽学院などの研究チームが、眠りに悩む60歳以上の人を対象にした14の試験(合計1,730人)をまとめた結果を発表しました(学術誌『Frontiers in Psychiatry』)。地域で暮らす高齢者や、認知症のある人などが含まれています。

音楽を使った取り組みで、眠りの質のスコア(PSQI)は平均3.37点よくなっていました。聴き方の条件ごとに見ると、次のようなときに改善がより大きい傾向がありました。

聴き方の条件 眠りの質のスコアの改善
1回30〜45分聴いたとき 平均3.60点
毎日(週7回)聴いたとき 平均3.96点
4〜8週間続けたとき 平均3.58点

研究チームは、音楽は体に負担がなく、薬を使わずに眠りと心の健康を支える方法になりうるとしています。

研究③ 眠りに向いているのは、こんな曲(2025年)

では、どんな曲を選べばよいのでしょうか。2025年12月、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの研究者が、21の試験をもとに「眠りを助ける音楽の要素」を整理した総説を発表しました(学術誌『Frontiers in Sleep』)。眠りによかった曲には、次のような特徴が多く見られたとしています。

  • ゆっくりしたテンポ:1分間に60〜80拍
  • 歌詞のない、楽器だけの曲
  • やわらかく、なめらかなメロディー
  • 単純な構成

こうした特徴は、クラシックやニューエイジの曲に多く見られました。また、自分の国や文化でなじみのある音楽、自然の音、宗教音楽も、場面によっては効果が見られたとしています。

60〜80拍というテンポは、安静にしているときの心拍数に近く、リラックスを助けると考えられています。「1分間に60拍」は、時計の秒針と同じ速さです。

反対に、避けたほうがいい要素

この総説によると、研究で使われた曲では、次の要素が意図的に避けられていました。

歌詞
言葉を聞き取ろうとして、頭が働き続けてしまう
アクセントの強い拍、打楽器のような音
急な音の刺激で、目が覚めてしまう
シンコペーション(拍の裏にアクセントがくる、跳ねるようなリズム)
リズムを追うために、注意を向け続けてしまう

著者は、眠る前の音楽では、聴く人を刺激したり、引き込んだりする要素を避けることが大切だとしています。音量は小さく、穏やかな背景の音くらいにすることも勧めています。聴き方の目安としては、寝る前の30〜45分、毎日聴くことを挙げています。

今日から実践できること:Zeverisからの提案

1. 寝る前の30〜45分を「音楽の時間」にする
布団に入る少し前から、音楽を流してみましょう。研究で使われた時間は平均36分。まずは30分から始めるのがおすすめです。
2. 歌詞のない、ゆったりした曲を選ぶ
テンポの目安は、時計の秒針と同じか少し速いくらい(1分間に60〜80拍)。クラシック、ピアノ曲、アンビエント、自然の音などが選びやすいジャンルです。音楽アプリの「睡眠」「リラックス」のプレイリストから、歌詞のないものを探すのも手です。
3. ドラムが目立つ曲、リズムが跳ねる曲は寝る前には外す
好きな曲でも、ドラムやパーカッションが強い曲、リズムが跳ねる曲、歌詞のある曲は、日中の楽しみにとっておきましょう。寝る前は、音の強弱が少なく、なめらかに流れる曲が向いています。
4. 好きな曲、なじみのある曲でもOK
研究では、本人が選んだ曲でも効果に差はありませんでした。上の条件に合う中から、聴いていて落ち着く曲を自分なりに集めてみましょう。
5. 音量は小さく、背景の音くらいに。タイマーで自動で止める
意識して聴き込むのではなく、うっすら流れているくらいの小さな音量で。スマートフォンやスピーカーのタイマー機能を使えば、眠ったあとに止められます。
6. 毎日、数週間続けてみる
高齢者のまとめでは、毎日聴いたとき、4〜8週間続けたときに改善が大きい傾向がありました。1日で判断せず、習慣にしてみましょう。
7. 眠れない日が長く続くときは、医療機関へ
音楽は手軽に始められる方法の一つです。眠れない状態が続いてつらいときは、早めに医師に相談しましょう。

まとめ

寝る前の音楽は、多くの試験のまとめで、眠りの質をよくすることが示されている方法です。13の試験・1,007人をまとめたコクラン・レビューでは眠りの質のスコアがはっきり改善し、高齢者を対象にした新しいまとめでも同じ方向の結果が出ています。

選ぶなら、歌詞やドラムのない、ゆったりした曲。聴くなら、寝る前の30〜45分を、小さな音で毎日。今夜から、眠る前の時間に音楽を足してみませんか。

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

出典

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