
3分でわかる!この記事の要点
- 結論
- 冬に家で「寒い」と感じることが多い人ほど、仕事の調子が落ちている傾向が見られました
- 理由
- 室温の数字よりも、本人が感じる「寒さ」のほうが、仕事の調子と強く結びついていました
- アクション
- 温度計で部屋の温度を知り、足元・首元を温めて「寒い」と感じる時間を減らしましょう
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寒い朝、なんとなく仕事がはかどらない
冬の朝、布団から出たくない。机に向かっても手足が冷えて、なかなか集中できない。そんな経験はありませんか。
産業医科大学などの研究チームによると、冬に家で「寒い」と感じることが多い人ほど、仕事の調子が落ちている傾向が見られました。日本で働く2,568人を調べた結果で、2026年8月、学術誌『Journal of Occupational and Environmental Medicine』に掲載されています。
この研究で調べたのは、「プレゼンティーイズム」と呼ばれる状態です。職場には来ているのに、体調や気分のせいで、本来の力を出し切れていない状態のことを指します。休んでいるわけではないので気づかれにくい一方で、働く人の力を目に見えない形で引き下げているとして、近年注目されています。
研究の内容:冬の家の温度を2週間測った
誰が参加したか
参加したのは、日本で働く2,568人です(1,735世帯)。
何を調べたか
研究チームは、3つのことを調べました。
- 部屋の温度:冬の2週間、参加者の家の室温を実際に測った
- 寒さの感じ方:家で「寒い」と感じる頻度を、4段階で答えてもらった
- 仕事の調子:仕事をするうえでの困りごとを測る質問票(WFun)で答えてもらった
WFunは、産業医科大学で開発された質問票です。「集中できない」「仕事の判断が鈍る」といった、仕事のしづらさの度合いを点数にします。
分析では、年齢や性別などの違いをそろえたうえで、寒さと仕事の調子の関係を見ています。
わかったこと
①部屋が寒い人ほど、仕事の調子が落ちていた
測った室温が低い家に住む人ほど、仕事のしづらさが大きい傾向が見られました。
②「寒い」と感じることが多い人ほど、仕事の調子が落ちていた
家で「寒い」と感じる頻度が高い人ほど、仕事のしづらさが大きい傾向も見られました。
③カギは、数字よりも「感じ方」
研究チームは、室温と「寒いと感じる頻度」の両方を同時に分析しました。すると、仕事の調子とはっきり結びついていたのは、「寒いと感じる頻度」のほうでした。
しかも、寒いと感じる頻度が高くなるほど、段階的に仕事のしづらさが大きくなっていました。同じ温度の部屋でも、寒さの感じ方は人によって違います。服装、体質、部屋のどこにいるか、すきま風や足元の冷え。そうした一人ひとりの「寒さ」が、仕事の調子と結びついていた可能性があります。
研究チームは、住まいの寒さを和らげることが、働く人のパフォーマンスを高めることにつながる可能性があるとしています。
冬の室温:WHOは「18℃以上」を保つよう勧めている
部屋の温度については、世界保健機関(WHO)が2018年に出した「住まいと健康のガイドライン」があります。寒い季節の室内は18℃以上を保つよう、強く勧めています。これは快適に過ごすための温度ではなく、寒さから健康を守るために、これより下げないでほしいという最低ラインです。高齢の人、子ども、持病のある人には、もっと高い温度が必要な場合があるとしています。
自分の部屋が何℃なのかは、意外と知らないものです。まずは18℃を下回っていないかを確かめること。そのうえで、今回の研究が示しているように「自分が寒いと感じていないか」に目を向けることが、冬を快適に過ごす手がかりになりそうです。
今日から実践できること:Zeverisからの提案
- 1. 部屋に温度計を置いて、18℃以上を保つ
- まずは、ふだん過ごしている部屋の温度を知るところから。WHOが勧める「18℃以上」を下回っていないか確かめましょう。18℃を超えていても寒いと感じるなら、服装や暖房で調整します。
- 2. 足元と首元を温める
- 床に近いほど空気は冷えやすくなります。厚手の靴下、スリッパ、ひざかけ、ネックウォーマーなど、冷えを感じやすいところから温めましょう。
- 3. 窓からの冷えを防ぐ
- 窓は、部屋の熱が逃げやすい場所です。厚手のカーテンを床まで下ろしたり、窓に断熱シートを貼ったりする方法があります。
- 4. 在宅勤務の席は、窓際と床の冷えを避けて
- 家で仕事をする日は、窓のすぐそばや冷えた床の近くを避け、温かい場所に席をつくってみましょう。
- 5. 朝いちばんの冷えを減らす
- 起きる時間に合わせて暖房のタイマーを使うと、寒さを感じる時間を短くできます。
- 6. 「寒い」と感じたら、そのままにしない
- 一枚はおる、温かい飲み物を飲む、少し体を動かす。寒さを感じた時点で手を打つ習慣をつけましょう。
まとめ
日本で働く2,568人を調べた研究では、冬に家が寒い人、そして「寒い」と感じることが多い人ほど、仕事の調子が落ちている傾向が見られました。両方を同時に見ると、仕事の調子とより強く結びついていたのは、本人が感じる「寒さ」のほうでした。
本格的な冬が来る前に、部屋の温度と、自分の「寒さ」を見直してみませんか。
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
出典
- Uchida Y, Umishio W, Ando S, Kario K, Murakami S, Ikaga T, Fujino Y. “Association Between Objective and Subjective Indoor Coldness During Winter and Presenteeism: A Cross-Sectional Study in Japan.” Journal of Occupational and Environmental Medicine. 2026年8月11日オンライン先行公開. DOI: 10.1097/JOM.0000000000003858
https://doi.org/10.1097/JOM.0000000000003858 - PubMed(抄録)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42579822/ - World Health Organization. WHO Housing and health guidelines. 2018. Chapter 4: Low indoor temperatures and insulation.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK535294/
