
3分でわかる!この記事の要点
- 結論
- 夕食後や寝る前に食べる習慣がある人は、脂肪肝と肝硬変が2〜3割多い傾向がありました
- 理由
- 米国の約20万人を調べた研究で、夜遅く食べる人ほど肝臓の病気と結びついていました
- アクション
- 夕食をその日の最後の食事にして、寝るまで2時間以上あけてみましょう
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「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」
肝臓の健康というと、お酒や脂っこい食事を思い浮かべる人が多いと思います。ところが最近の研究では、「食べる時間帯」も肝臓に関わっている可能性が見えてきました。
米国のオレゴン健康科学大学とマサチューセッツ総合病院の研究チームは、約20万人のデータを調べ、夕食後や寝る前に食べる習慣がある人ほど、脂肪肝や肝硬変が多い傾向があることを報告しました。2026年10月、肝臓と消化器の専門誌『Clinical Gastroenterology and Hepatology』に掲載された研究です。
肝臓は、体内時計(約24時間のリズム)の影響をとくに受けやすい臓器だといわれています。夜、体が眠る準備に入っている時間に食べることが、肝臓の負担になっているのかもしれません。
どんな研究?
約20万人の生活習慣と病気を照らし合わせた
研究チームが使ったのは、米国で長く続けられている3つの大規模な健康調査です。
- 使われたデータ
- 看護師健康調査(Nurses’ Health Study)、看護師健康調査II(Nurses’ Health Study II)、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)
- 参加者
- 3つの調査を合わせて約20万人
- 調べたこと
- 食事や生活習慣についての回答をもとに、食べる時間帯ごとにグループに分け、脂肪肝や肝硬変になった人の割合を比べた
- 「夜遅く食べる」とは
- 夕食のあと、または寝る時間を過ぎてから食べること
脂肪肝と肝硬変ってどんな病気?
脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまった状態です。最近は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼ばれるようになりました。自覚症状がほとんどなく、健康診断で見つかることが多い病気です。米国では最大で人口の約30%に見られるとされています。
肝硬変は、肝臓に傷あとのような硬い組織が広がった状態です。研究チームによると、脂肪肝になった人のうち、肝硬変まで進むのはごく一部です。
わかったこと
夕食後や寝る前に食べる習慣があると答えた人は、そうでない人に比べて、脂肪肝と肝硬変のリスクが20〜30%高い傾向がありました。
筆頭著者で肝臓専門医のロバート・ウィレチャンスキー医師は、寝る前の数時間はカロリーをとらないようにすることが、肝臓によい可能性があると述べています。食べる中身を変えなくても、時間を変えるだけで健康に役立つかもしれない。そこに研究チームは注目しています。
共著者で睡眠と体内時計の研究者であるアンドリュー・マクヒル准教授は、睡眠・食事・運動といった行動の「タイミング」が健康に大切だという結果が、何度もくり返し出てきていると話しています。体内時計が眠る準備をしている夜に食べると、食べたものを効率よく処理しにくくなることが、これまでの研究でも示されてきたそうです。
研究チームは現在、食べる時間を早めることで肝臓の状態がよくなるかを確かめる臨床試験の参加者を募っています。
日本人のデータでも、同じ方向の結果
日本でも、似た結果が報告されています。東京の健診クリニックと東京科学大学の研究チームが、健康診断を受けた日本人29,889人を最長約11年(2015年5月〜2026年3月)追跡した研究です(学術誌『Nutrients』、2026年9月)。
この研究では、次の3つの食べ方と、脂肪肝の起こりやすさの関係を調べました。
- 寝る前2時間以内に夕食をとる
- 朝食を抜く
- 早食い
寝る前2時間以内に夕食をとる人は、脂肪肝になりやすさが約1.1倍でした。さらに、3つの食べ方が重なるほどなりやすさが高まり、3つすべてに当てはまる人では約1.4倍でした。
また、この関連は、BMIが23未満の人のほうが、23以上の人よりも強く見られました。「太っていないから肝臓は大丈夫」とは限らず、体型に関係なく食べ方を見直す価値がありそうです。
米国と日本、別々の国の別々の調査で、「夜遅く食べる」と脂肪肝が結びつくという同じ方向の結果が出ています。
帰りが遅い日、夜勤がある日の食事
とはいえ、仕事で帰りが遅くなる日は、夕食が夜遅くなるのも無理はありません。研究チームも、昼夜が逆転しやすい夜勤の人では、肥満や心臓の病気が多いことに触れています。食べる時間は、働き方と切り離せない問題です。
だからこそ、「遅い時間にたくさん食べる」を避ける工夫が役に立ちます。食事を2回に分ける、夜は軽めにするなど、働き方に合わせてできる形を探してみましょう。
今日から実践できること:Zeverisからの提案
- 1. 夕食を「その日の最後の食事」にする
- 夕食後のお菓子、テレビを見ながらのつまみ、寝る前のひと口。まずは夕食のあとに何かを食べる習慣を減らすところから始めてみましょう。
- 2. 最後に食べてから寝るまで、2時間以上あける
- 日本の研究では、寝る前2時間以内の夕食が脂肪肝のなりやすさと結びついていました。寝る時間から逆算して、夕食を終える時刻を決めておくと続けやすくなります。
- 3. 帰りが遅い日は「分けて食べる」
- 夕方におにぎりやサンドイッチなどを食べておき、帰宅後はスープや野菜など軽めのものにする方法があります。遅い時間の食事量を減らせます。
- 4. 夜にお腹が空いたら、温かい飲み物を
- 寝る前の空腹には、白湯やカフェインの入っていないお茶などを。体が温まり、気持ちも落ち着きます。
- 5. 朝食と、ゆっくり食べることもあわせて意識する
- 日本の研究では、朝食抜きや早食いも重なるほど、脂肪肝のなりやすさが高まっていました。夜遅く食べない、朝食をとる、よく噛んでゆっくり食べる。できるものから1つずつ取り入れてみましょう。
- 6. 夜勤がある人は、勤務に合わせた「食べない時間」をつくる
- 勤務の時間帯によって食事のタイミングは変わります。眠る前の数時間は食べないようにするなど、自分の生活リズムに合った形を探してみましょう。
- 7. 健康診断の肝臓の項目を見てみる
- 脂肪肝は自覚症状がほとんどありません。健康診断の結果で肝臓の項目(ALT、AST、γ-GTPなど)を確認し、気になる値があれば医師に相談しましょう。
まとめ
米国の約20万人を調べた研究で、夕食後や寝る前に食べる習慣がある人は、脂肪肝と肝硬変のリスクが20〜30%高い傾向がありました。日本人29,889人の健診データでも、寝る前2時間以内の夕食が脂肪肝のなりやすさと結びついていました。
肝臓の健康は、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかにも関わっている可能性があります。今夜は、夕食のあとの「もうひと口」をお休みしてみませんか。
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
出典
- Wilechansky RM, Casey K, McHill AW, Chan AT, Simon TG. “Late-Night Eating is Associated with MASLD and Cirrhosis: The Nurses’ Health Study and Health Professionals’ Follow-Up Study.” Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2026年10月9日オンライン先行公開. DOI: 10.1016/j.cgh.2026.09.047
https://doi.org/10.1016/j.cgh.2026.09.047 - オレゴン健康科学大学(OHSU)ニュースリリース「Late-night eating may be bad for your liver, study suggests」(2026年10月9日)
https://news.ohsu.edu/2026/10/09/late-night-eating-may-be-bad-for-your-liver-study-suggests - Fukuda T, Okamoto T, Fukaishi T, Kawakami A, Tanaka M, Yamada T, Monzen K. “Accumulation and Time-Dependent Changes in Unfavorable Eating Behaviors and the Risk of Incident Metabolic Dysfunction-Associated and Alcohol-Related/Associated Steatotic Liver Disease: A Retrospective Cohort Study.” Nutrients. 2026;18(18):2957. DOI: 10.3390/nu18182957
https://doi.org/10.3390/nu18182957
