超加工食品を4週間減らしたら、うつの症状が軽くなった―UCSFの小さな試験から

3分でわかる!この記事の要点

結論
超加工食品を4週間減らしたうつ病の成人20人で、うつ症状の3つの指標すべてに改善が見られました
理由
食事が腸の状態や体内の弱い炎症を通じて、心の調子に関わっている可能性があると考えられています
アクション
1日1食を素材に近い食事に。飲み物は水やお茶、買い物では原材料表示の短いものを選びましょう
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手軽な食事と、心の調子

スナック菓子、菓子パン、清涼飲料、インスタント食品。袋を開ければすぐ食べられるこうした食品は、忙しい毎日の心強い味方です。

これらは「超加工食品」と呼ばれています。工場で大量に作られ、保存料、着色料、うま味を強める成分、乳化剤(水と油をなじませる成分)などが使われていることが多い食品のことです。

では、この超加工食品を減らすと、気分はどう変わるのでしょうか。

米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究によると、うつ病のある成人20人が超加工食品を減らした食事を4週間続けたところ、うつ症状を測る3つの指標すべてで、中程度から大きな改善が見られました。不安の点数もわずかに下がりました。結果は2026年9月23日、精神医学の学術誌『JAMA Psychiatry』に掲載されています。

食べるものを変えることが、気持ちを支える手段のひとつになるかもしれません。

研究の内容:同じ人が「ふだんの食事」と「超加工食品を減らした食事」を4週間ずつ

誰を、どう調べたか

参加者
うつ病のある成人20人(平均44歳、70%が女性)。20人のうち14人には不安症もあり、全員がBMI(体格の指数)が高めで、高血圧、糖尿病、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高いといった代謝の不調を1つ以上持っていました。
方法
どちらの食事から始めるかをくじ引きのような方法(無作為)で決め、10人ずつの2つのグループに。一方はふだんの食事を4週間、もう一方は超加工食品を減らした食事を4週間続け、4週間たったら食事を入れ替えました。
掲載
JAMA Psychiatry(2026年9月23日、査読済み)

同じ人が両方の食事を体験するので、それぞれの期間の調子を比べられる形です。

食事以外の影響をなるべく小さくするため、試験の間は薬、カウンセリング、運動、睡眠の習慣を変えない約束でした。20人のうち19人が、最後までやり遂げています。

食事は研究チームが用意したものではありません。参加者が研究者の助言を受けながら、自分で食材を選び、買い物をしました。ふだんの暮らしの中で実際にできるかどうかを確かめる、最初の一歩となる小さな試験(予備試験)です。米国国立衛生研究所(NIH)の資金で行われました。

わかったこと①:超加工食品を85%以上減らせた

参加者は、超加工食品の摂取を85%以上減らすことができました。

研究の中心となったニャーシャ・チャグウェデラ助教は、超加工食品を減らすのが簡単ではない理由として、とてもおいしく、安く、手軽であることを挙げています。それでも参加者は、助言を受けながら自分の買い物で大きく減らせました。

わかったこと②:うつ症状の3つの指標すべてで改善

うつ症状は、次の3つの「ものさし」で測られました。どれも、点数が高いほど症状が重いことを表します。

  • MADRS(モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度):気分の落ち込み、睡眠、食欲、集中しにくさなど10項目を、面接で評価する指標(0〜60点)
  • PHQ-9:過去2週間の気分や体調について、本人が9つの質問に答える質問票(0〜27点)
  • QIDS(簡易抑うつ症状尺度):睡眠、食欲、気分、意欲などからうつ症状の程度を確かめる指標(0〜27点)

最後までやり遂げた19人の平均点は、次のとおりでした。

指標 試験前(20人) ふだんの食事の期間 超加工食品を減らした期間
MADRS 21.6点 18.9点 8.05点
PHQ-9 12.8点 8.68点 5.53点
QIDS 13.10点 8.89点 5.21点
GAD-7(不安) 9.35点 7.37点 4.63点

3つの指標すべてで、超加工食品を減らした期間のほうが点数が低くなっています。試験前の点数や食事の順番を考慮した分析でも、減らした期間のほうがMADRSで10.78点、PHQ-9で3.12点、QIDSで3.67点低いという結果でした。UCSFの発表は、これを「中程度から大きな改善」と表現しています。

不安の強さを測る7項目の質問票「GAD-7」(0〜21点)でも、ふだんの食事の期間7.37点に対し、超加工食品を減らした期間は4.63点と、わずかに改善が見られました。

研究チームによると、うつ病のある人で超加工食品を減らし、その影響を確かめた研究は、知るかぎりこれが初めてです。

なぜ食事が気分に関わるの?

研究チームが考えているのは、腸と脳のつながりです。

腸の内側は、体を守る膜でおおわれています。チャグウェデラ助教は、超加工食品がこの膜を傷つけ、腸のバランスがくずれることで、体じゅうに弱い炎症が長く続く状態が生まれ、それが気分の落ち込みにつながったり、落ち込みやすくしたりしている可能性があると説明しています。

おなかで起きた小さな変化が、波のように脳まで伝わっていく。そんなイメージです。

超加工食品を多く食べる人ほどうつが多い傾向は、これまでも報告されてきました。今回の試験は、同じ人の食事を実際に入れ替えて比べたことで、その理解を一歩進めるものになりました。

これから:より大きな試験へ

研究を率いたアンドリュー・クリスタル教授は、20人という小さな試験ながら、より大きな規模で研究を進められることが確かめられたと話しています。研究チームは次の段階の試験を計画しており、2028年に参加者の募集を始める予定です。

今日から実践できること:Zeverisからの提案

一度に全部やめる必要はありません。小さな置き換えから始めてみましょう。

1. 1日1食を、素材に近い食事に置き換える
袋を開けるだけの食事を、まずは1日1食だけ、ご飯と味噌汁、卵や納豆、果物といった素材に近いものへ。朝食から始めると続けやすくなります。
2. 飲み物を水やお茶にする
清涼飲料や甘い缶コーヒーを、水、お茶、麦茶に。持ち歩く1本を変えるだけなので、いちばん手軽な一歩です。
3. 原材料表示が短いものを選ぶ
買い物のとき、パッケージの裏を見てみましょう。原材料の欄が短く、台所にあるような名前が並んでいるものが目安になります。
4. おやつを「そのまま食べられる素材」に
スナック菓子や菓子パンの代わりに、バナナやみかん、無塩のナッツ、焼きいも、プレーンヨーグルトなどを手の届くところに置いておきましょう。
5. 買い物の前に、ざっくり決めておく
今回の参加者も、助言を受けながら自分で食材を選んでいました。おなかがすいた状態で売り場に行く前に、買うものをメモしておくと、選びやすくなります。
6. 完璧を目指さず、自分のペースで
忙しい日や疲れた日は、手軽な食品に頼って大丈夫です。できる日に、できる分だけ。うつ病などで治療を受けている方は、今の治療を続けながら、食事の工夫について主治医に相談してみてください。気分の落ち込みが続いてつらいときは、ひとりで抱えず、医療機関や身近な人に相談しましょう。

まとめ

UCSFの研究チームによる20人の試験では、超加工食品を85%以上減らした4週間に、うつ症状の3つの指標(MADRS、PHQ-9、QIDS)すべてで中程度から大きな改善が見られ、不安の点数もわずかに下がりました。研究チームは、腸の状態や体内の弱い炎症が心の調子に関わっている可能性を考えており、より大きな試験を計画しています。

毎日の食事は、自分で選べるセルフケアのひとつです。今日の1食、今日の1本の飲み物から、素材に近いものへ置き換えてみませんか。

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

出典

  • Chagwedera N, et al. “Reducing Ultraprocessed Foods From the Diets of Patients With Depression: A Pilot Crossover Trial.” JAMA Psychiatry. 2026年9月23日掲載. DOI: 10.1001/jamapsychiatry.2026.2320
    JAMA Psychiatry の論文ページ
  • UCSF ニュースリリース「Could Quitting Ultra-Processed Food Boost Your Mental Health?」(2026年9月23日)
    UCSF の発表
  • Lane MM, et al. “Ultra-processed food consumption and mental health: a systematic review and meta-analysis of observational studies.” Nutrients. 2022;14(13):2568. DOI: 10.3390/nu14132568
    Nutrients の論文ページ

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