座りっぱなしより「何か動く」――中年期に体を動かしていた人ほど、認知機能低下が緩やかだった

3分でわかる!この記事の要点

結論

中年期に身体活動をしていた人で、認知機能低下が緩やかな傾向が見られた(ヒスパニック系で顕著)。

理由

身体活動の有無が、認知機能の変化と関連していたことが示されたため。

アクション

座りっぱなしの時間を減らす工夫から始めてみる。

座りっぱなしより「何か動く」――身体活動と認知機能の変化に関連

米UT Health San Antonio(テキサス大学サンアントニオ校)の研究チームが、1979年から続く長期コホート研究「サンアントニオ心臓研究」の参加者402人を追跡した調査結果を、2026年7月23日付で医学誌『Alzheimer’s & Dementia: Behavior & Socioeconomics of Aging』に発表しました。

 

研究対象者のプロフィール

52%

ヒスパニック系
(メキシコ系アメリカ人)

48%

非ヒスパニック系
白人

57.9歳

平均年齢

研究チームは中年期の心血管の健康状態と、その後の認知機能の変化との関連を、長期間にわたって調べました。

結果は、すべての人に一律に当てはまるものではありませんでした。ヒスパニック系の参加者では、座りがちな生活を送るのではなく何らかの身体活動をしていた人ほど、認知機能低下が緩やかである傾向が見られました。

一方、非ヒスパニック系白人の参加者では、空腹時血糖値が126mg/dL以下だった人ほど、認知機能低下が緩やかである傾向が見られました。なお、126mg/dLという数値は糖尿病の診断基準としても知られていますが、今回の研究はこの数値を認知機能低下予防の目標値として示したものではありません。

研究者は「ライフスタイルの変化により、特にリスクの高い集団で認知症の負担を軽減できる可能性がある」とコメントしています。

何を、どうやって調べたのか

研究チームは、アメリカ心臓協会が提唱する心血管の健康指標「Life’s Simple 7」を用いて、参加者の健康的な食生活・禁煙・身体活動という行動面の3項目と、血圧・BMI(体格指数)・総コレステロール・空腹時血糖という健康面の4項目を評価しました。

 

認知機能の評価方法

認知機能については、「ミニメンタルステート検査(MMSE)」という簡易的な認知機能テストを用いて、複数回にわたり評価しています。

研究結果の要点

ヒスパニック系の参加者:
「身体活動をしていたかどうか(座りがちな生活を避けていたかどうか)」が、認知機能低下の緩やかさと関連していました。

非ヒスパニック系白人の参加者:
「空腹時血糖値が126mg/dL以下だったかどうか」が、認知機能低下の緩やかさと関連していました。

 

【重要な注意点】

この2つの関連は、同じ集団で見られたものではなく、対象を分けたうえでそれぞれの民族的背景ごとに見られた、異なる関連だという点です。そのため、「運動すれば認知機能の低下を防げる」とまでは言えません。今回の研究では、身体活動と認知機能の変化に関連が見られたものの、身体活動が直接の原因だと断定することはできません。

 

補足:アジア人を対象とした研究

身体活動と認知機能の変化との関連は、日本や中国などアジア人を対象にした複数の研究でも報告されています(対象や方法が今回の研究とは異なるため、単純に比較することはできません)。身体活動は認知機能に限らず、心血管や全身の健康維持に役立つ一般的な生活習慣としても広く知られており、こうした複数の研究結果もあわせて考えると、日常に取り入れる価値のある、有効な習慣と言えそうです。

今日から実践できる対策(提案)

ここから先は、今回の研究で直接効果が検証された治療法や介入ではなく、研究結果をふまえた提案です。なお、今回の研究だけから、どの程度の運動をすればよいのか、あるいは1日何分程度動けばよいのかまでは判断できません。

①

座りっぱなしの時間を減らす

デスクワークの合間に立ち上がる、家事のついでに少し歩くなど、激しい運動でなくても「座りがちな生活を避ける」ことを意識してみる。

②

日常の中で体を動かす機会を増やす

通勤や買い物のときに一駅分歩く、階段を使うなど、生活の中に小さな運動を取り入れてみる。身体活動は血糖コントロールにも役立つとされており、今回の研究結果とは別の観点からも健康維持につながる。

③

気になる場合は健診の数値も確認する

今回、非ヒスパニック系白人の参加者では空腹時血糖値との関連も見られました(ただし、この数値自体を予防の目標値として示した研究ではありません)。気になる方は健診結果を確認し、必要に応じてかかりつけ医に相談してみる。

まとめ

 

米UT Health San Antonioが402人を追跡した調査から、中年期に座りがちな生活を送らず身体を動かしていた人ほど、認知機能低下が緩やかだったという関連が、ヒスパニック系の参加者において見られました。

 

非ヒスパニック系白人の参加者では、空腹時血糖値が126mg/dL以下だった人ほど、同様の傾向が見られました(ただし、この数値を予防の目標値として示した研究ではありません)。

 

これらはあくまで観察研究で見られた関連であり、運動や血糖管理が認知機能低下を確実に防ぐと断定するものではありませんが、日常生活を見直すきっかけになりそうです。

まずは「座りっぱなしを避ける」という意識から、今日から始めてみませんか?

 

出典・参考文献

UT Health San Antonio「Any degree of physical activity may slow cognitive decline particularly in Hispanics, UT Health San Antonio study suggests」(2026年7月23日)

Alzheimer’s & Dementia: Behavior & Socioeconomics of Aging「Longitudinal association between midlife cardiovascular health and cognitive change in a bi-ethnic cohort」(DOI: 10.1002/bsa3.70096)

JAMA Network Open「Association Between Physical Activity and Risk of Disabling Dementia in Japan」(2022年、DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2022.4590)

BMC Geriatrics「Physical activity trajectories and cognitive decline among older adults in China: a longitudinal cohort study」(2025年)

※内容は2026年8月時点の公開情報に基づきます

※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

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