
3分でわかる!この記事の要点
- 結論
- 空気いす(壁スクワット)を週3回・4週間続けた人は、週1回に減らしても上の血圧の低下が保たれました
- 理由
- 力を入れて止まる運動は、血管や自律神経の働きに良い変化をもたらすと考えられています
- アクション
- まずは週3回を1か月。忙しい週も週1回は続けて、積み上げた変化を保ちましょう
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忙しくて回数が減っても、積み上げた変化は保てる?
運動を始めたものの、仕事や家のことが立て込んで、回数が減ってしまう。そんな経験はありませんか。「週1回しかできないなら、もう意味がないかも」と感じて、そのままやめてしまう人も少なくありません。
英国カンタベリー・クライスト・チャーチ大学などの研究チームによると、壁スクワット(空気いす)を週3回、4週間続けた人たちは、そのあとの4週間を週1回に減らしても、上の血圧(収縮期血圧)が始める前より低い状態を保っていました。結果は2026年9月、学術誌『BMJ Open Sport & Exercise Medicine』に掲載されています。
壁スクワットは、壁に背中をつけ、ひざを曲げて、いすに座るような姿勢のまま止まる運動です。日本では「空気いす」の名前でおなじみです。英語では、この止まったままの運動を「ウォール・スクワット」や「ウォール・シット」と呼びます。ふつうのスクワットのように立ったり座ったりをくり返すのではなく、止まったままでいるのが特徴です。このように、体を動かさずに筋肉に力を入れ続ける運動は「アイソメトリック運動(等尺性運動)」と呼ばれます。
壁スクワットと血圧:これまでにわかっていたこと
アイソメトリック運動と血圧の関係は、以前から研究されてきました。
2023年に学術誌『British Journal of Sports Medicine』に掲載された分析では、270件の試験、合計15,827人のデータがまとめられています。有酸素運動、筋トレ、短時間の高強度トレーニングなどと比べて、血圧の下がり方が最も大きかったのがアイソメトリック運動でした(上の血圧で8.24mmHg、下の血圧で4.00mmHg)。なかでも壁スクワットは、上の血圧を下げる運動として最も有効とされています。
では、下がった血圧を保つには、どのくらいの回数を続ければよいのでしょうか。週1回でも保てることは、これまでも小規模な研究で報告されていました。今回の試験は、100人を回数の違うグループにランダムに分けて、この点を確かめたものです。
研究の内容:100人が5つのグループに分かれた
誰が参加したか
参加したのは100人の成人です(平均37歳、女性45%)。上の血圧が120〜140mmHgで、高血圧ではない人たちでした。ふだん運動の習慣がほとんどなく、血圧の薬を飲んだことがなく、たばこを吸わないことが条件です。
どんな運動をしたか
運動は自宅で行われました。1回の内容は次のとおりです。
- 壁スクワットの姿勢のまま、動かずにじっと保つ(立ったり座ったりはくり返さない)。これを4セット
- 1セットごとに、座って2分間休む
- 次の運動まで48時間(中1日)あける
ひざを曲げる角度は、事前のテストで測った心拍数をもとに、一人ひとりに合わせて決められました。参加者は心拍計をつけて運動し、その記録を研究チームが確かめています。
5つのグループ
参加者は、ランダムに5つのグループに分かれました。
- 運動をしないグループ(20人):8週間、ふだんどおりに生活する
- 運動をする4つのグループ(合計80人):最初の4週間は、全員が週3回
運動をする4つのグループは、5週目から8週目の回数が違います。
- 週3回を続ける
- 週2回に減らす
- 週1回に減らす
- やめる
血圧は、始める前、4週間後、8週間後の3回、研究室で測られました。15分間座って安静にしたあと、5分間測る方法です。
わかったこと
①4週間で、上の血圧が下がった
最初の4週間を終えた時点で、運動をした4つのグループは、運動をしなかったグループと比べて、上の血圧が約9mmHg(9.45mmHg)下がっていました。
続けやすさも確かめられています。運動をした80人のうち77人が、4週間で12回の運動をすべてやり遂げました。残りの3人も11回です。試験のあいだ、けがなどの問題は報告されていません。
②週1回に減らしても、下がった状態が保たれた
8週間後の上の血圧を、始める前と比べた結果です。
| 5〜8週目の回数 | 上の血圧の変化(始める前と比べて) |
|---|---|
| 週3回を続けた | 13.73mmHg低い |
| 週2回に減らした | 6.95mmHg低い |
| 週1回に減らした | 6.56mmHg低い |
週2回のグループも週1回のグループも、運動をしなかったグループより低い状態を保っていました。週2回と週1回のあいだには、差が見られていません。
③続けた回数が多いほど、変化は大きい
下がり方が最も大きかったのは、週3回を続けたグループでした。血管の抵抗(血液の流れにくさ)や、自律神経の働きを示す指標に見られた良い変化も、週3回を続けたグループで保たれています。
④やめると、元の水準に戻った
5週目から運動をやめたグループは、8週間後、運動をしなかったグループとの差がなくなっていました。
4週間で積み上げた変化は、やめると4週間で元に戻る。けれど、週1回でも続ければ保てる。この試験が教えてくれるのは、「ゼロにしない」ことの大切さです。
忙しい人にとっての意味:「できる週」と「できない週」があっていい
研究チームは、回数を減らした運動について、時間がとれない人や、続けるのが難しい人にとっての現実的な選択肢になる、としています。
壁スクワットは、道具も着替えもいりません。自宅の壁があれば始められます。アイソメトリック運動は、短い時間でできる運動としても研究されてきました。
残業が続く週、出張のある週、家族の予定が重なる週。週3回の時間はとれなくても、週1回なら予定に入れやすいはずです。「できる週は週3回、忙しい週は週1回」。そんな続け方が、選択肢になる可能性があります。
今日から実践できること:Zeverisからの提案
- 1. 壁に背中をつけて、いすに座るように腰を落とす
- 足を壁から一歩ぶん前に出し、肩幅に開きます。背中を壁につけたまま、ゆっくり腰を落としましょう。腰を落としたら、上下には動かず、その姿勢のまま止まります。最初は、ひざを軽く曲げるくらいの浅い角度で十分です。
- 2. 短い時間から、息を止めずに
- まずは10〜20秒ほど。力を入れているあいだも、自然な呼吸を続けます。慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしていきましょう。
- 3. 最初の1か月は、1日おきに週3回
- 試験の参加者は、最初の4週間、1日おきに週3回取り組みました。月・水・金のように、曜日を決めておくと続けやすくなります。
- 4. 忙しい週も、週1回は続ける
- 試験では、週1回に減らした人たちも、下がった状態を保っていました。時間がとれない週は「週1回だけ」と決めて、ゼロにしないことをめざしましょう。
- 5. 生活の中に「いつやるか」を組み込む
- 歯みがきのあと、お風呂が沸くまでのあいだ、テレビのCMのあいだ。毎日の決まった行動とセットにすると、忘れにくくなります。
- 6. 家で血圧を測って、記録してみる
- 朝、同じ時間に測って書きとめておくと、自分の変化が見えてきます。
高血圧の治療を受けている方、心臓の病気がある方、ひざや腰に痛みのある方は、始める前に医師に相談してください。
まとめ
英国の研究チームによる試験では、高血圧ではない成人100人のうち、壁スクワットを週3回、4週間続けた人たちの上の血圧が下がりました。そのあとの4週間を週1回に減らした人たちも、始める前より6.56mmHg低い状態を保っています。週3回を続けた人たちは13.73mmHg低く、やめた人たちは元の水準に戻りました。
毎週きっちり続けられなくても、積み上げた変化は保てる可能性があります。まずは1か月、壁の前に立つところから始めてみませんか。
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
出典
- Swift HT, Pedlar C, Coleman DA, Buckley JP, Wiles JD. “Isometric exercise training and blood pressure control: exploring the dose-response to training frequency in a randomised controlled trial.” BMJ Open Sport & Exercise Medicine. 2026; 12(3): e003172. DOI: 10.1136/bmjsem-2025-003172
https://doi.org/10.1136/bmjsem-2025-003172 - BMJ Group ニュースリリース「A weekly session of isometric exercise training may maintain lower blood pressure」(2026年9月29日)
https://bmjgroup.com/?p=18281 - Edwards JJ, et al. “Exercise training and resting blood pressure: a large-scale pairwise and network meta-analysis of randomised controlled trials.” British Journal of Sports Medicine. 2023; 57(20): 1317. DOI: 10.1136/bjsports-2022-106503
https://doi.org/10.1136/bjsports-2022-106503
