「いろいろな植物を少しずつ」が腸に届く?―30種類以上の植物をとった人は、サプリより多くの腸内細菌に変化

3分でわかる!この記事の要点

結論
30種類以上の植物を少しずつ毎日とった人は、乳酸菌サプリの人より多くの腸内細菌に変化が見られました
理由
植物ごとに食物繊維やポリフェノールの種類が違い、腸内細菌への「エサ」の幅が広がる可能性があります
アクション
味噌汁の具を日替わりに、ごまや青のりを「ちょい足し」。食卓の植物の種類を増やしてみましょう
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野菜は食べているのに、いつも同じ顔ぶれ?

野菜は食べているつもりでも、気づけば毎日同じ顔ぶれ。キャベツ、にんじん、玉ねぎ……。そんな食卓は少なくありません。

私たちのおなかの中には、たくさんの種類の細菌がすんでいます。腸内細菌と呼ばれるこの仲間たちは、私たちが食べたものをエサにして暮らしています。細菌によって好みのエサが違うので、食べるものの「種類」が変われば、腸の中の顔ぶれも変わっていくと考えられています。

英国キングス・カレッジ・ロンドンなどの研究チームは、英国の35〜65歳の大人を3つのグループに分け、6週間の試験を行いました(学術誌『British Journal of Nutrition』、2026年7月)。

その結果、30種類以上の植物を少しずつ混ぜたものを毎日とったグループでは、57種類の腸内細菌に変化が見られました。乳酸菌のサプリを飲んだグループは4種類、比較のためにパンのクルトンを食べたグループは14種類でした。植物のグループでは、便秘やおなかの不調が軽くなった、元気が出たと答えた人も多くいました。

おなかの細菌たちにとって大切なのは、野菜の量だけでなく「種類」なのかもしれません。

研究の内容:植物ミックス、乳酸菌サプリ、クルトンを比べた

誰を、どう調べたか

参加したのは、英国に住む35〜65歳の健康な大人です。ふだんの食物繊維が1日20g未満と、少なめの人たちが選ばれました。試験はすべて自宅で行われ、最後まで分析できたのは349人(年齢の中央値は51歳、4人に3人が女性)でした。

参加者はくじ引きのような方法で3つのグループに分けられ、6週間、次のものを毎日とりました。

植物ミックスのグループ
30種類以上の植物を混ぜたもの1日30g(大さじ山盛り2杯ほど)を、ふだんの食事に加える
乳酸菌サプリのグループ
よく研究されている乳酸菌(ラクトバチルス・ラムノーサスGG)のカプセルを1日1粒
クルトンのグループ
植物ミックスとカロリーをそろえたパンのクルトンを1日28g

植物ミックスの中身は、果物・野菜6種類、きのこ8種類、種(シード)6種類、ハーブ3種類、ナッツ3種類、スパイス2種類、全粒穀物2種類。さまざまな食物繊維やポリフェノールをとれるように組み合わせたものです。

試験の前後で便を調べて腸内細菌の顔ぶれを比べたほか、おなかの調子、空腹感、元気さ、気分などを質問票で答えてもらいました。

なお、この研究はキングス・カレッジ・ロンドンと英ZOE社の研究者によるもので、研究著者の多くは、試験で使われた植物ミックスを販売するZOE社の社員です。

わかったこと①:植物ミックスでは57種類の腸内細菌が変化

6週間後、腸内での割合がはっきり変化した細菌の種類は次のとおりでした。

グループ 変化した腸内細菌
植物ミックス 57種類
クルトン 14種類
乳酸菌サプリ 4種類

特定の菌をカプセルで届ける方法より、いろいろな植物をとる方法のほうが、腸の中の顔ぶれにより広く働きかけた可能性があります。

さらに植物ミックスのグループの中で見ると、増えた細菌には、これまでの研究で健康に良い指標と結びついていた細菌が多く、減った細菌にはその逆の細菌が多い傾向が見られました。

わかったこと②:おなかの調子と元気さにも変化

参加者が答えた体調の変化を、植物ミックスのグループとクルトンのグループで比べると、次のような違いがありました。

参加者が答えた変化 植物ミックス クルトン
胃もたれなどの消化の不調が軽くなった 55.1% 36.4%
元気が出た 50.5% 37.3%
気分が明るくなった(幸福感が上がった) 44.6% 30.0%
おなら(ガス)が気にならなくなった 37.4% 23.6%
便秘が軽くなった 34.6% 24.5%

クルトンのグループの数字は、何もしなくても起きる自然な変化の目安です。平均で見ると、クルトンのグループの体調はほぼ変わっていませんでした。

おなかの調子だけでなく、元気さや気分にも前向きな変化が見られたのは、うれしいポイントです。

わかったこと③:食事に加えると、おなかが満たされやすい

一部の参加者34人には、白いパンの朝食を「そのまま」と「植物ミックスを加えて」の2通りで食べてもらう追加の試験も行われました。植物ミックスを加えたときは、その後3時間の空腹感が小さく、満腹感と元気さが高いという結果でした。

なぜ「種類」が大事なの?

野菜、果物、きのこ、ナッツ、種、ハーブ、スパイス、穀物。植物は、それぞれに違う種類の食物繊維やポリフェノール、ビタミン・ミネラルを持っています。論文では、いろいろな植物を食べることで、腸にさまざまな食物繊維やポリフェノールが届き、それぞれが違う形で腸や体に働きかける可能性があると説明されています。

腸内細菌にとっては、エサのメニューが増えるようなもの。さまざまな細菌が、それぞれ好みのエサを見つけやすくなるのかもしれません。

よく聞く「1週間に30種類」はどこから?

「1週間に30種類の植物を」という目安を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは今回の試験とは別の研究から広まった数字です。

米国を中心に1万人以上が参加した「American Gut Project(アメリカン・ガット・プロジェクト)」の報告(2018年)では、1週間に30種類以上の植物を食べていた人は、10種類以下の人に比べて、腸内細菌の種類が豊かな傾向がありました。

今回の試験は「1日に30種類以上を混ぜたもの」を使っており、「1週間に30種類」とは数え方が違います。それでも2つの研究は、植物の「種類」に目を向けることの大切さを、別々の方向から示しているといえます。

今日から実践できること:Zeverisからの提案

試験で使われたような植物ミックスがなくても、和食には種類を増やすヒントがたくさんあります。

1. 味噌汁の具を日替わりにする
わかめ、きのこ、油揚げ(大豆)、ねぎ、大根、青菜……。味噌汁は、いろいろな植物を少しずつとるのにぴったりの料理です。毎日同じ具にせず、日替わりで顔ぶれを変えてみましょう。
2. きのこは2〜3種類を合わせて
今回の植物ミックスには、8種類ものきのこが入っていました。しめじ、えのき、まいたけ、しいたけなどをまとめて炒めたり、汁物に入れたりすれば、手軽に種類が増やせます。
3. 「ちょい足し」で種類を増やす
ごま、青のり、しょうが、大葉、みょうが、七味など、少量でも1種類は1種類。いつものおかずや冷ややっこに、ひとふりしてみましょう。
4. ナッツや種、雑穀をおやつやごはんに
植物ミックスには、ナッツや種、全粒穀物も入っていました。無塩のミックスナッツをおやつに、白ごはんに雑穀を混ぜるなど、「いつもの一品」を置き換えるのもおすすめです。
5. 1週間に食べた植物の種類を、一度数えてみる
野菜、果物、きのこ、豆、ナッツ、種、穀物、ハーブ、スパイスを1種類ずつ数えてみると、自分の食卓の「偏り」が見えてきます。同じ植物は何回食べても1種類と数えるのがコツです。
6. 増やすときは、少しずつ
食物繊維が急に増えると、おなかが張ることがあります。おなかの様子を見ながら、1品ずつ増やしていきましょう。おなかの病気で治療中の方は、医師に相談してから始めてください。

まとめ

キングス・カレッジ・ロンドンなどの研究では、30種類以上の植物を少しずつ混ぜたものを6週間とった人で、57種類の腸内細菌に変化が見られました。乳酸菌サプリ(4種類)やクルトン(14種類)より多く、おなかの調子が軽くなった、元気が出た、気分が明るくなったと答えた人も多い傾向でした。

ひとつの食材やサプリに頼るより、いろいろな植物を少しずつ。今日の味噌汁の具をひとつ変えるところから、食卓の彩りを広げてみてはいかがでしょうか。

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

出典

  • Creedon AC, Bernard HM, Amati F, Segata N, Wallace SM, Arrè A, Smith HA, Platts A, Bulsiewicz WJ, Bermingham KM, et al. “Does a diverse whole-food plant-based dietary intervention improve gut microbiome composition, gut symptoms, energy and hunger in healthy adults? A randomised controlled trial.” British Journal of Nutrition. 2026:1-19. DOI: 10.1017/S0007114526107703
    https://doi.org/10.1017/S0007114526107703
  • King’s College London ニュースリリース(EurekAlert!、2026年7月31日)
    https://www.eurekalert.org/news-releases/1138371
  • McDonald D, et al. “American Gut: an Open Platform for Citizen Science Microbiome Research.” mSystems. 2018;3(3):e00031-18. DOI: 10.1128/mSystems.00031-18
    https://doi.org/10.1128/mSystems.00031-18

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