秋のかぼちゃ、栄養について解説――β-カロテンとビタミンEは「脂質と一緒に」

3分でわかる!この記事の要点

結論

かぼちゃ、特に西洋かぼちゃは、皮膚や粘膜の健康維持に関わるβ-カロテンと、抗酸化に働くビタミンEを多く含みます。

理由

β-カロテンやビタミンEは脂溶性のため、脂質を含む食事と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。

アクション

β-カロテンとビタミンEは脂溶性。油を使った料理など、適量の脂質と組み合わせて食べましょう。

秋の食卓の定番、かぼちゃは「緑黄色野菜」としても優秀です

煮物にポタージュ、炒めものにサラダ。秋から冬にかけて出番が増えるかぼちゃは、ほくほくとした甘さが魅力の野菜です。そして栄養面でも、緑黄色野菜の中で存在感のある一本です。

文部科学省の食品成分データベース(日本食品標準成分表 八訂 増補2023年)によると、西洋かぼちゃ(果実・生)は可食部100gあたりエネルギー78kcal、β-カロテン当量2,600μg、ビタミンE(α-トコフェロール)3.9mg、ビタミンC 43mg、カリウム430mg、食物繊維総量3.5g。ビタミンEを比較的多く含む野菜です。

ちなみに、同じ「かぼちゃ」でも日本かぼちゃ(果実・生)は100gあたり41kcal、β-カロテン当量1,400μg、ビタミンE 2.2mg、ビタミンC 16mg、カリウム420mg、食物繊維2.8g。現在スーパーで多く流通しているのはほくほくした西洋かぼちゃで、日本かぼちゃはねっとりした食感が特徴です。

栄養価だけを見れば西洋かぼちゃが上回る項目が多いのですが、後ほど紹介する研究では、この2つの系統で「肌に対する働き方」が違う可能性が示されており、単純にどちらが優秀とは言い切れないところが面白い点です。

※数値は成分表の版によって見直されることがあります。本記事は現行の食品成分データベース(八訂 増補2023年)の値を使用しています。

かぼちゃに含まれる栄養素と、一般に知られている働き

以下は栄養学上一般的に知られている内容であり、特定の病気を治したり予防したりすることを保証するものではありません。

 

β-カロテン(プロビタミンA)

体内で必要に応じてビタミンAに変換され、視覚や皮膚・粘膜の健康維持に関わります。それ自体に抗酸化作用もあるとされています。

 

ビタミンE

脂に溶ける抗酸化ビタミンで、細胞膜の脂質が酸化することを防ぐ働きが知られています。

 

ビタミンC

コラーゲンの合成に欠かせないビタミンで、抗酸化作用や免疫機能のサポートでも知られています。

 

カリウム

体内の余分なナトリウムの排出を促すミネラルで、血圧の調整に関わることが多くの研究で示されています。

 

食物繊維

便通や腸内細菌の働きに関わり、血糖値や血中コレステロールのコントロールにも関係しています。

「サプリで摂ればいい」とはならない点に注意

β-カロテンについては、食品から摂るのとサプリメントで大量に摂るのとで、結果が違うことが知られています。

厚生労働省eJIM(「統合医療」情報発信サイト)が公開する、米国国立衛生研究所(NIH)ダイエタリーサプリメント室のファクトシート日本語訳によると、喫煙者を対象とした2つの大規模試験でβ-カロテンのサプリメントが検証されました。ATBC試験(50〜69歳の男性喫煙者29,133人)ではβ-カロテンのサプリメント摂取群で肺がんリスクが18%高くなり、CARET試験(喫煙者やアスベスト曝露者18,314人)では肺がんリスクが28%、肺がんによる死亡が46%高くなったため、試験が平均4年で中止されました。

一方で同資料は、観察研究のシステマティックレビューやメタ解析では、レチノールやカロテノイド、果物・野菜を多く摂る人ほど肺がんなどのリスクが低いことが示されている、とも記しています(観察研究にもとづくもので、因果関係を示したものではありません)。なお、サプリメントによるリスク上昇が確認されたのは喫煙者・元喫煙者を対象とした試験で、非喫煙者ではがんのリスクに影響しないようだ、とも記載されています。

【研究トピック】かぼちゃそのものを調べた研究――ただし、どれも「細胞・塗る」の話

かぼちゃと肌をめぐっては、興味深い研究が2つ報告されています。どちらも読み解く上で大事な前提があるので、あわせてご紹介します。

 

品種によって働き方が違う可能性(2025年・セルビア/オーストリア)

学術誌『Cutaneous and Ocular Toxicology』2025年(44巻4号、508〜521頁)に掲載された、セルビアとオーストリアの研究チームによる論文です。西洋かぼちゃ系統(Cucurbita maxima)と日本かぼちゃ系統(C. moschata)を含む6品種の果肉抽出物を、ヒト由来の培養皮膚細胞(正常なケラチノサイトのHaCaT細胞、およびメラノーマ由来のFemX細胞)に対して比較しました。

結果、西洋かぼちゃ系統の抽出物は強い抗酸化作用と抗炎症作用(炎症性物質IL-1βの発現を抑える働き)を示し、一方で日本かぼちゃ系統は6品種の中で最も高いSPF値(紫外線を防ぐ指標)を示しました。また正常な細胞に対しては1,000μg/mLまで細胞毒性を示さなかったと報告されています。

 

【この研究を読むうえでの前提】

これはシャーレの中で培養した細胞に抽出物をかけた実験です。人がかぼちゃを食べたり肌に塗ったりして、シミやシワ、日焼けがどうなったかを確かめたものではありません。またここでの「SPF値」は試験管内で測定された指標で、日焼け止め製品のSPF表示とは測定方法が異なり、同じようには扱えません。かぼちゃを食べても、塗っても、日焼け止めの代わりにはなりません。

今日から実践できる具体的な対策(提案)

以下は、上記の研究で直接検証された対策ではなく、栄養学的な知見をもとにした提案です。

①

脂質と組み合わせて食べる

β-カロテンとビタミンEは脂溶性のため、脂質を含む食事と一緒に摂ると吸収されやすくなります。オリーブオイルやバターを使ったポタージュ、ひき肉と煮るそぼろ煮、少量の油で炒める・焼くといった調理が取り入れやすい形です。

②

サラダならオイル系のドレッシングやナッツを添える

マヨネーズやオリーブオイル、ナッツと合わせると、脂質と一緒に摂れるうえ、ナッツのビタミンEも加わります。

③

皮ごと使う

皮の部分にもβ-カロテンや食物繊維が多く含まれます。皮ごとの煮物や蒸し料理、焼き物などで無駄なく使いましょう。

④

サプリメントでβ-カロテンを大量に摂ることは避ける

リスク上昇が確認されたのは喫煙者・元喫煙者を対象とした試験です。喫煙されている方・過去に喫煙されていた方は特に、β-カロテンのサプリメントは推奨されません。いずれにせよ、野菜として食べる形が基本です。

⑤

食事制限のある方は相談を

かぼちゃは糖質を含み、カリウムも比較的多い野菜です。腎機能や血糖の管理で食事指導を受けている方は、かかりつけ医や管理栄養士に相談したうえで取り入れてください。

まとめ

 

かぼちゃ、とくに西洋かぼちゃはβ-カロテンとビタミンEを多く含む緑黄色野菜で、ビタミンCやカリウム、食物繊維もあわせて摂れます。

 

どちらも脂溶性のビタミンなので、脂質を含む食事と組み合わせる、皮ごと使うといった工夫が、栄養を活かす近道になりそうです。

 

サプリメントでの大量摂取には注意が必要です。研究で示されたのは培養細胞レベルの話で、食べれば肌が変わる、というものではありません。

日々の食事に取り入れる一つのおいしい選択肢として、旬のかぼちゃを楽しんでみてください。

 

出典・参考文献

文部科学省 食品成分データベース「野菜類/(かぼちゃ類)/西洋かぼちゃ/果実/生」(食品番号06048)

文部科学省 食品成分データベース「野菜類/(かぼちゃ類)/日本かぼちゃ/果実/生」(食品番号06046)

農畜産業振興機構(ALIC)「野菜情報58 かぼちゃと山の芋」

カゴメ VEGEDAY「かぼちゃの栄養!種類ごとの違い」

厚生労働省eJIM「ビタミンAとカロテノイド[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者]」(米国国立衛生研究所ODSファクトシートの日本語訳)

Cutaneous and Ocular Toxicology「Biological activity of pumpkin pulp extracts: cytoprotection, anti-inflammatory effects, and photoprotection in human skin cells」(2025年、44巻4号508-521頁)

CosmeticsDesign「Fall’s favorite gourd and skin care: Study shows pumpkins may have cosmetic value」

※内容は2026年9月時点の公開情報に基づきます

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

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