ナッツを多く食べる人ほど認知機能が高い傾向――1,771人の分析で「身体活動が少ない人・食事の質が低い人」に強い関連

3分でわかる!この記事の要点

結論

ナッツ摂取量が多い人ほど、記憶や思考のテスト成績が高い傾向が見られました。

理由

身体活動が少ない人・食事の質が低い人で関連が強く、脳卒中経験者では血管新生に関わる指標とも関連しています。

アクション

間食の選択肢のひとつとして、少量のナッツを取り入れてみましょう。

ナッツと「考える力」の関連――1,771人のデータ分析から

オーストラリア・モナシュ大学の研究チームが、アメリカの長期健康調査「フラミンガム心臓研究」の参加者1,771人(平均年齢61歳)のデータを分析したところ、ナッツをよく食べる人ほど、記憶や思考力のテスト成績が高いという関連が見られました。この研究は、査読済みの国際学術誌『Food & Function』に2026年8月5日付でオンライン掲載されています。

興味深いのは、この関連がすべての人で同じように見られたわけではない点です。関連が最も顕著だったのは、身体活動が最も少ない人と、全体的な食事の質が最も低い人でした。研究チームはPsyPostの取材に対し「間食をナッツに置き換えることは、バランスの取れた食事ができていない人や、あまり運動をしない人に特に役立つ可能性がある」とコメントしています。

また、脳卒中を経験した参加者29人のうち、VEGFを分析できた28人では、ナッツ摂取量が多い人ほど、血管新生(新しい血管が形成される過程)に関わる「VEGF」という血液中の物質の値が高いという関連も見つかりました。研究チームにとっても意外な発見だったそうです。

何を、どうやって調べたのか

分析の対象になったのは、フラミンガム心臓研究のうち、脳卒中歴のない1,742人と、脳卒中経験者29人です。参加者は過去1年間の食事内容を詳しい質問票で記録し、そこからナッツの摂取量が計算されました。

認知機能については、処理速度(頭の回転の速さ)、視覚記憶、言語記憶、推論力などのテストを行い、総合的な認知スコアを算出。さらにMRIで脳全体や海馬(記憶に関わる部位)の体積を測り、血液検査で神経細胞の成長や維持などに関わるBDNF、血管新生に関わるVEGFという2つの物質も測定しました。年齢・性別・教育・喫煙・食事全体の質・身体活動といった、結果に影響しうる要因は統計的に調整されています。

結果をまとめると、次のようになります

脳卒中歴のない1,742人では、ナッツ摂取量が多いほど総合認知スコアが高い関連が見られました。関連の強さを示すβ係数は全体で0.007だったのに対し、食事の質が最も低い群では0.022、身体活動が最も少ない群では0.015と、これらの群でより強い関連が見られました。

脳全体の体積との関連は、身体活動が多い人でのみ見られました。

脳卒中経験者では、認知スコアとの関連は見られなかったが、VEGFを分析できた28人において、ナッツ摂取量が多いほどVEGFの値が高い関連が見られました(測定されたBDNFについては、主要な結果として関連は報告されていない)。

一方、約10年間の追跡では新たに脳卒中49件・認知症61件が発生したが、ナッツ摂取量との統計的な関連は見られなかった。

つまりこの研究が示したのは、「ある時点でナッツをよく食べている人は、思考力テストの成績が高い傾向がある」という関連であって、「ナッツを食べれば脳卒中や認知症を防げる」ということではありません。実際、10年間の追跡では発症リスクとの関連は確認されていません。研究チーム自身も、これを予備的な知見と位置づけています。

補足:ナッツについて一般的に知られていること

今回の研究とは別に、ナッツは栄養学の分野で以前から研究されてきた食品です。一般的には、次のような特徴が知られています。

 

不飽和脂肪酸が豊富

LDL(悪玉)コレステロールを下げる方向に働くとされる、体に良いタイプの脂質を多く含みます。くるみに多いオメガ3系脂肪酸もその一例です。

 

抗酸化成分やミネラル

ビタミンEのほか、葉酸、カリウム、食物繊維などの補給源になります。

 

心臓・血管の健康との関連

ハーバード大学公衆衛生大学院のまとめによると、複数の大規模研究で、ナッツを週に数回食べる人はほとんど食べない人に比べて心筋梗塞や心臓病による死亡のリスクが30〜50%低かったという一貫した報告があります。

今日から実践できる対策(提案)

ここから先は、今回の研究で効果が直接検証された方法ではありません。今回の研究から直接「お菓子をナッツに置き換えれば認知機能が改善する」とはいえませんが、研究結果を日常生活に応用するなら、次のような方法が考えられます。

①

間食の選択肢にナッツを加える

ポテトチップスや甘いお菓子の代わりに、食塩や砂糖などを多く含まないナッツを選んでみましょう。

②

量は少なめを意識する

ナッツはカロリーが高めの食品です。一般的な栄養ガイドラインでは1日20グラム程度を目安とする例があります(今回の研究が示した数値ではありません)。

③

「完璧な生活」でなくてもいい

今回の研究で関連が最も顕著だったのは、身体活動や食事の質が理想的とは言えない人たちでした。生活全体を変えるのが難しくても、間食ひとつの工夫なら始めやすいかもしれません。

ナッツアレルギーのある方は無理をせず、医師に相談してください。

まとめ

 

モナシュ大学の研究チームが米フラミンガム心臓研究の1,771人を分析した結果、ナッツ摂取量が多い人ほど記憶や思考のテスト成績が高い関連が見られ、その関連は身体活動が最も少ない人・食事の質が最も低い人で最も顕著でした。

 

脳卒中経験者29人のうちVEGFを分析できた28人では、血管新生に関わるVEGFとの関連も見られています。

 

一方で、10年間の追跡では脳卒中や認知症の発症との関連は確認されておらず、観察研究のため因果関係も断定できません。

 

それでも、間食の選択肢に少量のナッツを加えるという小さな工夫は、試してみる価値のある選択肢のひとつと言えそうです。

 

出典

Food & Function「Nut consumption, cognitive function and brain health markers in individuals with and without stroke: cross-sectional and longitudinal findings from the Framingham heart study」(Amanat S, Dordevic AL, Pase MP, Cardoso BR、2026年8月5日オンライン掲載、DOI: 10.1039/D6FO00666C)

PubMed(原著情報): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42555214/

PsyPost「Nut consumption is associated with sharper thinking skills and post-stroke brain health markers」

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

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