チョコレートの「香り」を嗅ぐと筋トレの回数が増えた? 空腹時の脚トレで調べた研究

3分でわかる!この記事の要点

結論

空腹状態でダークチョコの香りを嗅ぐと、脚の筋トレの合計回数が水より平均約18回多くなりました。

理由

空腹感が弱まり満腹感が高まっていたことから、研究チームは食欲の変化が関わった可能性を考えています。

アクション

空腹でのトレーニングは無理をせず、香りは「試してみる工夫」の一つとして気軽に取り入れる程度に。

食べずに「嗅ぐだけ」で、運動が変わる?

朝食前など、お腹が空いた状態でトレーニングをすると、なんとなく力が出ない。そんな経験がある人は多いかもしれません。

一方で、においは食欲や気分と深く結びついています。パン屋の前を通っただけでお腹が鳴るように、食べ物の香りは「これから食べる」という準備を体と脳に促すと考えられています。

マレーシアのマラヤ大学の研究チームは、この「食べ物の香り」に注目しました。チョコレートの香りを嗅ぐだけで、空腹時の筋トレの成績は変わるのか。健康な男性23人を対象に調べた結果を、2026年7月9日に学術誌『Frontiers in Physiology』で発表しています。研究チーム自身は、この研究を「探索的研究」と位置づけています。

結果は、ダークチョコレートの香りを嗅いだときに、脚の筋トレの合計回数が水の場合より平均で約18回多くなったというものでした。

しかも、終わったあとの「きつさ」の感じ方は、条件による差がはっきりとは見られませんでした。

どんな実験だったのか

 

実験の方法

  • 参加者:筋トレを週2回以上、2年以上続けている健康な男性23人(平均23.4歳)
  • 比べた香り:カカオ90%のダークチョコレート、カカオ60%のミルクチョコレート、水(比較用)の3つ。チョコレートは約40℃のお湯で溶かして使用
  • 進め方:一人ひとりが3つの条件をすべて、4日以上あけて別々の日に体験(順番は参加者ごとに入れ替え)。参加者と成績を測る担当者には、どの条件かを伏せて実施(二重盲検)
  • 条件:10時間以上の絶食後に実施
  • 香りの嗅ぎ方:瓶を鼻から2〜3cmの位置に置き、3秒吸って3秒吐くペースで30秒間嗅ぐ。運動前と、セット間の休憩中に実施
  • 運動:レッグエクステンション(座って膝を伸ばす脚のマシントレーニング)を、10回挙げられる重さの80%で、限界まで繰り返す。セット間の休憩は3.5分
  • 測ったもの:合計回数とセット数、1セットごとのきつさ(ボルグCR10という0〜10の主観的なスケール)、空腹感・満腹感・食べたい気持ち・香りの心地よさ
 

わかったこと

  • 合計回数:水と比べて、ダークチョコの香りでは平均約18回、ミルクチョコの香りでは平均約9回多かった
  • セット数:ダークチョコの香りでは、水より1セット多かった
  • きつさ:3つの条件で差ははっきりせず、どの条件でもセットを重ねるごとに同じように高まっていった
  • 食欲:ダークチョコの香りでは、運動前の空腹感や「食べたい気持ち」が弱まり、満腹感が高まっていた
  • 香りの心地よさ:ミルクチョコの香りがいちばん心地よいと評価された。一方で、ミルクチョコが水と違っていたのは「食べたい気持ち」だけで、こちらはむしろ高くなっていた

心地よさの評価が高かったのはミルクチョコでしたが、回数がより多く増えたのはダークチョコでした。「いい香りだから頑張れた」という単純な話ではなさそうです。

なぜ回数が増えたのか(まだ推測の段階)

研究の責任者であるモハメド・ナシュルディン・ビン・ナハルディン博士は、なじみのある食べ物の香りが「これから食べる」という脳の予測を通じて、食欲ややる気に影響する可能性を挙げています。

つまり、ダークチョコの香りによって食欲関連の感覚が変化し、それが運動パフォーマンスに関係した可能性がある、という見方です。

 

注意ポイント

ただし、この研究では血液中のホルモンや脳の活動は測っていません。研究チームも、体の中で何が起きたのかは「推測の域を出ない」としています。論文のタイトルには「食欲の抑制を通じて」とありますが、食欲の変化が回数増加の原因だと確かめたわけではない点に注意が必要です。

「チョコを食べると筋トレに良い」という話ではない

この実験で参加者はチョコレートを食べていません。比べたのはあくまで「チョコの香りを嗅いだ場合」と「水の香りを嗅いだ場合」です。また、10時間以上何も食べていない状態での結果で、食後のトレーニングで同じことが起きるかはわかりません。

 

この研究の限界

  • 参加者は23人と少なく、20代の筋トレ経験がある男性のみ。女性や高齢者、運動習慣のない人に当てはまるかは不明
  • 種目はレッグエクステンション1種類だけ
  • 空腹感などは本人の主観的な評価のみで、ホルモンや脳の活動は測っていない
  • 瓶で香りを嗅ぐ方法のため、香りの強さを完全にはそろえられていない
  • 水の条件は、参加者が「チョコではない」と気づけた可能性がある

今日から実践できる具体的な対策(提案)

ここから先は、今回の研究で直接効果が確かめられた方法ではなく、研究結果をふまえた提案です。

①

空腹で筋トレする日は、ダークチョコの香りを試してみる

研究は10時間以上の絶食という条件で行われました。研究と同じように、運動前やセット間の休憩中にダークチョコなどの香りを嗅いでみるのも一つの方法です。

空腹時の運動でふらつきや気分の悪さを感じたら、すぐに中止しましょう。

②

「きつさ」と「回数」を記録する

研究では、回数が増えてもきつさの感じ方は変わりませんでした。自分のトレーニングでも、回数と「きつさ0〜10」をメモしておくと、工夫の効果を振り返りやすくなります。

③

香りを嗅ぐ=食べる、ではない

チョコを食べて運動成績が上がると示された研究ではありません。食べる量は普段の食事の中で調整しましょう。

④

限界まで追い込むトレーニングはフォームを優先

回数を増やすことにこだわりすぎず、けがを防ぐことを第一にしましょう。

研究の詳細(Scientific Evidence)

まとめ

 

マラヤ大学の研究では、空腹状態の健康な男性23人がカカオ90%のダークチョコレートの香りを嗅ぐと、脚の筋トレの合計回数が水と比べて平均約18回多くなりました。

 

カカオ60%のミルクチョコレートでも平均約9回多く、どちらの場合もきつさの感じ方に差ははっきりしませんでした。ダークチョコの香りでは空腹感が弱まり、満腹感が高まっていました。

 

ただし、少人数・男性のみ・1種目・空腹時という限られた条件での探索的な研究で、食欲の変化が回数増加の原因かどうかも確かめられていません。

食べ物の香りが、体の感じ方ややる気と思った以上につながっているかもしれない。そんな可能性を示した研究として、今後のより大きな検証に注目したいところです。

 

出典・参考文献

Frontiers in Physiology: Chocolate odor enhances resistance exercise performance through appetite suppression in the fasted state: an exploratory study

同論文(PubMed Central)

ScienceDaily: Smelling chocolate helped men complete more reps without feeling more tired

※内容は2026年9月時点の公開情報に基づきます

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry