
3分でわかる!この記事の要点
結論
秋は、新しい予定を足す前に「やめること」を決め、スケジュールを見直すきっかけにできる
理由
HBSの教員が「ゼロベース」思考と重要度×緊急度の整理法を提案しているため
アクション
惰性で続けている予定を見直し、本当に重要な仕事の時間を先に確保してみる
9月、なんとなく疲れているのに予定だけが埋まっていく理由
9月に入ると、休み明けの疲れが残ったまま、仕事の予定だけがどんどん埋まっていく――そんな感覚を覚えたことがある人は、少なくないかもしれません。
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が発信するオウンドメディア「Working Knowledge」で、2024年10月4日に公開された記事によると、秋を、これまでの仕事や習慣を見直し、これからの過ごし方をリセットするきっかけにできるとしています。この記事では、HBSの2人の教員が、それぞれの専門分野から予定の整理術を提案しています。
「足し算」ではなく「引き算」から――Christina Wallace氏の提案
自分の「新年度」を自分で決める
多くの人は1月1日を新年の始まりだと考えますが、実際にはその年に向けて生活を立て直す時間がなく、もどかしさを感じてしまうことも少なくありません。
年末年始の慌ただしさは、新しい年を迎えるにあたって多くの人が望む「すっきりとした仕切り直し」とは、しばしば相容れないからです。たとえ変化が必要だと分かっていても、年始の数週間があっという間に過ぎてしまうと、つい肩の力を抜いて、これまでの習慣に身を任せてしまいがちです。しかし、ここには一つの朗報があります。時間の区切り方は絶対的なものではなく、自分自身で決めてよいのです。
「ゼロベース予算」を時間に応用する
Wallace氏は、家計管理の手法である「ゼロベース予算」の考え方を時間の使い方に応用しています。ゼロベース予算とは、前年の予算をそのまま引き継ぐのではなく、ゼロの状態から本当に必要な支出だけを積み上げていく方法です。
これと同じように、前年のスケジュールをそのまま延長するのではなく、「その予定は本当に今も必要なのか」を一つひとつ問い直しながら、活動や約束を選び直すことを勧めています。
「引き算」で余白をつくる
惰性で続けている会議や予定、習慣などを見直して不要なものを減らせば、自分の時間に余白をつくることができます。こうした「足し算」ではなく「引き算」から始める考え方は、予定に追われて疲弊することを防ぐうえでも役立ちそうです。
「重要度×緊急度」で仕事を整理する――Joseph Fuller教授の提案
アイゼンハワー・マトリクスの活用
もう一人、実務教授(Professor of Management Practice)のJoseph Fuller氏が提案するのは、通知やタスクに追われがちな日々の中で、仕事を「重要度」と「緊急度」という2つの軸で整理する「アイゼンハワー・マトリクス」の活用です。
目の前のタスクを、重要度が高いか低いか、緊急度が高いか低いかで分類することで、本当に優先すべき仕事を明確にできます。一般的にこのマトリクスでは、以下のように整理されます。
重要度・緊急度ともに高い
すぐ対応する
重要度は高い・緊急度は低い
時間を確保して取り組む
重要度は低い・緊急度は高い
人に任せる・効率化する
どちらも低い
減らす・後回しにする
「ディープワーク」の時間を確保する
さらにFuller氏は、ジョージタウン大学のCal Newport氏が提唱する「ディープワーク(deep work)」――他の作業や気を散らすものから切り離し、重要な仕事にまとまった時間を充てる働き方――を行える人ほど生産性が高くなるとして、通知や細かな作業に時間を分断されないよう、重要な仕事に集中して取り組む時間をあらかじめスケジュールに確保しておくことも勧めています。
仕事だけでなく、家庭内の用事やプライベートの予定を整理する際にも応用できる考え方です。
Wallace氏の「ゼロベース」の視点とFuller氏の「重要度×緊急度」の視点は、それぞれ異なる専門分野を持つ教員による、別々の提案です。どちらか一方が唯一の正解というわけではなく、状況に応じて組み合わせて使えるヒントとして紹介されています。
今日から実践できる具体的な対策(提案)
ここから先は、記事で紹介されている考え方をもとにした、日常で試しやすい提案です。効果を検証した実証研究の結果ではなく、実務に基づく知見・アドバイスである点にご留意ください。
今ある予定を「ゼロベース」で棚卸しする
新しい予定を加える前に、今の会議や習慣を一つずつ「本当に今も必要か」問い直してみる。ゼロベース予算の考え方を時間に応用し、前年のスケジュールをそのまま延長するのではなく、ゼロから積み上げ直す。
「重要度×緊急度」でタスクを仕分けする
目の前の仕事を、重要度と緊急度の2軸で分類し、優先すべきものを可視化してみる。重要だが緊急でない仕事にこそ、計画的に時間を割く意識を持つ。
重要な仕事のための時間を先に確保する
スケジュールを埋める前に、集中して取り組みたい仕事の時間をあらかじめブロックしておく。ディープワークの時間をカレンダーに入れ、通知や細かな作業に分断されないよう守る。
仕事以外の予定にも応用する
家庭内の用事やプライベートの予定の整理にも、同じ「引き算」の考え方を使ってみる。仕事とプライベートの境界を意識し、両方の領域で不要な予定を減らす。
まとめ
秋だからといって、新しい予定を次々に加える必要はありません。ハーバード・ビジネス・スクールの2人の教員は、それぞれ異なる視点から、前年の予定をそのまま踏襲するのではなく「その予定は本当に必要か」を問い直す「ゼロベース」思考と、「重要度×緊急度」で仕事を整理するアイゼンハワー・マトリクスの活用を提案しています。
まずは「やめること」「減らすこと」を決め、予定を足す前に引き算をする。そんな視点でスケジュールを見直すことが、忙しさをリセットし、これからの時間をより有効に使うきっかけになるかもしれません。
時間の区切り方は自分で決めてよい。9月が「自分なりの新年度」として、これからの過ごし方をリセットするタイミングになるかもしれません。
出典
Harvard Business School, Working Knowledge「Research-Based Advice for the Seasonally Overwhelmed and Schedule Challenged」(2024年10月4日)
※内容は2026年8月時点の公開情報に基づきます
※本記事は情報提供を目的としており、特定の効果を保証するものではありません
※効果には個人差があります
