「心の病が最も多い世代」に10~20代を挙げる企業の割合が10年で倍増

「心の病が最も多い世代」に10~20代を挙げる企業の割合が10年で倍増

3分でわかる!この記事の要点

結論

企業の約4割で「心の病」が増加傾向。10~20代が最多の割合とする企業が10年で約2倍の高水準です。

理由

経営理念が浸透していない企業ほど不調者が多く、職場の方向性の共有不足が影響しています。

アクション

個人は気分の変化を記録し、職場は理念の共有と相談しやすい声かけを習慣化しましょう。

ピークからは微減も、依然として高水準な若手のメンタル不調

最近、仕事に対してなんだかやる気が出ないと感じることはありませんか。現在、多くの企業で従業員のメンタルヘルスが重要な経営課題となっています。

日本生産性本部が発表した「第12回 メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート調査結果」(2025年11月公表)によると、直近3年間で心の病が「増加傾向にある」と答えた企業は39.2%に上りました。前回の2023年調査からは低下したものの、「横ばい」が過半数の52.0%を占めており、依然として高い水準で推移していることがわかります。

特に注目すべきは若い世代の状況です。

「心の病が最も多い年齢層」=
「10代〜20代」が37.6%で最多

かつてこの設問では、心の病が最も多い年齢層といえば「30代」でした。2010年頃の調査までは「30代」が圧倒的に多く、「40代」「10〜20代」が続くのが定番の並びだったのです。

それが2012年頃から年代差が縮まり、2023年の前回調査でついに「10〜20代」が最多へと逆転、今回もその傾向が続きました。

 

10年で約2倍に——データが語る現実

10〜20代の37.6%は2014年調査(18.4%)の約2倍の水準であり、若い世代が職場で心理的な負担を抱えやすくなっている長期的な変化が浮き彫りになっています。

本記事では、この調査結果から見えてきた不調の原因と、私たちが今日からできる対策を解説します。

なぜ「会社の方向性」が心の健康に影響するのか?

仕事のストレスといえば、業務量の多さや人間関係の摩擦を想像する方が多いでしょう。しかし、今回の調査では「会社の経営理念の浸透度」とメンタルヘルスに明確な関係があることが示されました。

調査結果によると、経営理念が従業員に「浸透していない」企業では、心の病が増加傾向にある割合が50.0%に達しました。一方で、理念が「浸透している」企業ではその割合が34.2%にとどまっており、両者には15ポイント以上の大きな開きがあります。

会社が何を目指し、社会にどう貢献しようとしているのかという「方向性」が現場に共有されていないと、従業員は自分の日々の業務が何につながっているのか意味を見出しにくくなります。

特に、仕事のやりがいや納得感を大切にする若手世代にとって、目標が見えないまま業務をこなす状態は、モチベーションの低下や心理的な疲労を引き起こす要因になると考えられます。

反対に、チームの目標や会社のビジョンがわかりやすく共有されている職場では、困難な業務であっても納得感を持って取り組むことができ、それがストレスに対する見えない緩衝材の役割を果たしているのです。

 

補足

こうした若年層の不調の背景について、コロナ禍に入社した世代がテレワーク中心の環境で対人関係や仕事のスキルを十分に積めず、成長実感を得にくく孤立しやすかった可能性も指摘しています。

実際、パーソル総合研究所の分析でも、在宅勤務をする20代若手は残業時間が長い一方で成長実感が高まっておらず、OJTによる育成機能の低下が要因とされています(※あくまで成長実感や孤立に関する分析であり、心の病の増加を直接示したものではありません)。

今日から実践できる具体的な対策

ここからは、個人と職場のそれぞれの立場で、今日から実践できる具体的な行動を紹介します。

 

自分でできること

「なんとなくしんどい」を放置しない

自分の心の疲れは意外と気づきにくいものです。週に1回、今日の気分を5点満点で手帳やスマートフォンにメモする習慣をつけましょう。点数の変化を記録するだけで、自分を客観視できるようになります。

不調のサインを見逃さず、早めに休む

「眠れない」「食欲がない」「普段はしない小さなミスが増えた」といった行動や体調の変化は、心からのSOSです。

無理をせず、早めに休息をとる判断をしてください。

会社のストレスチェックを活用する

定期的なストレスチェックは受けて終わりにせず、結果をしっかり確認しましょう。不安な点があれば、一人で抱え込まずに産業医や信頼できる上司に相談して構いません。

 

職場・上司ができること

方向性をわかりやすい言葉で繰り返し共有する

会社の経営理念やチームの目標を、日常の業務と結びつけてメンバーに伝え続けましょう。

方針が伝わっていない職場ほど不調者が多いというデータを重く受け止める必要があります。

「相談していい」空気をつくる

立派な相談窓口を用意するだけでなく、日頃から「最近どう?」「いつでも話を聞くよ」と声をかけることが重要です。

制度よりも、まずは一言のコミュニケーションが心理的安全性を生み出します。

結果をもとにチームで話し合う

ストレスチェックの集団分析結果などを活用し、チーム単位で「うちの職場はここが課題だね」とざっくばらんに意見交換できる場を設けましょう。

研究の詳細

本記事の基となるデータは、日本生産性本部が実施した「第12回 メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート調査」によるものです。この調査は2002年から概ね隔年で実施されており、今回は上場企業の人事担当者を対象に、2025年7月8日から8月25日にかけて郵送およびWEBで実施されました(有効回答数171社)。

 

調査結果のハイライト

直近3年間で心の病が「増加傾向にある」とした企業は39.2%、「横ばい」は52.0%、「減少傾向」は4.7%でした。増加傾向の割合は前回(2023年)の45.0%から低下したものの、依然として高水準を維持しています。

 

若年層の現状

心の病が最も多い年齢層として「10〜20代」を挙げた企業の割合は37.6%で、前回の43.9%からは微減したものの、引き続き全年代で最多となっています。

2014年調査(18.4%)と比較すると約2倍の水準であり、若年層のメンタルヘルス対応が長期的な課題。

 

経営理念の浸透度とメンタルヘルスの相関

組織の経営品質に関する設問では、経営理念が「あまり浸透していない」「全く浸透していない」と答えた企業群において、心の病が増加傾向にある割合が50.0%に達しました。これは、経営理念が「大いに浸透している」「ある程度浸透している」と答えた企業群の34.2%と比べて15.8ポイント高く、理念の浸透とメンタルヘルス不調の抑制に相関があることが示されています。

まとめ

 

若手社員の心の病は、個人の問題だけではなく、組織のあり方が深く関わっています

 

ピーク時からはわずかに減少したとはいえ、依然として高い水準にある現状を直視しなければなりません。

 

会社の方向性をわかりやすい言葉で共有し、日頃からちょっとした変化に気づけるコミュニケーションを積み重ねることが、働きやすい職場をつくる最大の近道です。

「誰かが見てくれている」という感覚が、心の不調を防ぐ最もシンプルな予防策なのかもしれません。

 

出典・参考文献

日本生産性本部「第12回 メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート調査結果」

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※内容は2026年6月時点の公開情報に基づきます

※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
※統計データは調査時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。

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