3分でわかる!この記事の要点
結論
キムチ由来の乳酸菌がナノプラスチックを吸着し、体外への排出を助ける可能性が示された
理由
マウス実験で、乳酸菌を与えた個体は与えなかった個体の2倍以上のナノプラスチックを便として排出
アクション
効果を過信せず、まずは発酵食品の一つとして、キムチを日々の食事に無理なく取り入れてみよう
血液や脳からも見つかる”見えないプラスチック”
近年、私たちの血液や脳、腸などから「ナノプラスチック」と呼ばれる、1マイクロメートル(1000分の1ミリ)未満のごく微細なプラスチック粒子が検出されるようになり、健康への影響を心配する声が世界的に高まっています。
プラスチック製品が劣化する過程で生まれるこの粒子は、食品や飲料水を通じて体内に入り込み、小さすぎるがゆえに腸の壁をすり抜けて、腎臓や脳などに蓄積する可能性があると考えられています。
そもそも、キムチとは
キムチは、豊富な乳酸菌に加えて食物繊維やビタミンCなども含む発酵食品として知られ、腸内環境を整えたり、免疫機能をサポートしたりする働きが期待できる食品として、古くから健康効果が注目されてきました。今回の研究は、そうしたキムチの健康効果に「ナノプラスチック対策」という新たな切り口を加える可能性がある、という点でも注目されています。
そんな中、韓国の国立研究機関である世界キムチ研究所(World Institute of Kimchi、韓国科学技術情報通信省傘下)の研究チームが、キムチの発酵に関わる乳酸菌に、ナノプラスチックを取り除く手助けをする力があるかもしれない、という研究結果を発表しました。研究成果は学術誌『Bioresource Technology』に掲載されています。
発信元について注意点
なお、この研究はキムチの普及・研究を目的とする公的機関から発表されたものです。成果自体は査読を経て学術誌に掲載されていますが、発信元の性質上、内容は割り引いて、冷静に見ていくことをおすすめします。
試験管内では87%、疑似腸内環境でも57%を吸着
研究チームが注目したのは、キムチ由来の乳酸菌「Leuconostoc mesenteroides CBA3656」です。
実験室内の標準的な条件下で、この菌はポリスチレン製のナノプラスチックの87%を吸着することが確認されました。これは比較対象とした別の乳酸菌株(Latilactobacillus sakei CBA3608、85%)とほぼ同水準でした。
吸着率の比較
実験室内(標準条件)
→ ほぼ同水準
疑似腸内環境下
→ CBA3656は安定して吸着力を保持
興味深いのはここから
消化液を再現した疑似腸内環境下で試したところ、比較対象の菌の吸着率が3%まで急落したのに対し、CBA3656は57%という高い吸着力を保ち続けました。
つまりこの菌は、実際の腸内に近い環境でも比較的安定してナノプラスチックを捕まえ続けられる可能性がある、という点が特徴的だとされています。
マウス実験での検証
さらに、無菌マウスを使った動物実験では、この菌を投与したオス・メス両方のマウスが、投与しなかったマウスに比べて2倍以上のナノプラスチックを便として排出したことが確認されました。研究チームは、この菌が腸内でナノプラスチックと結合し、体外への排出を後押ししている可能性があると考察しています。
研究者コメント
「プラスチック汚染は、環境問題であるだけでなく公衆衛生上の課題としても認識されつつあります。発酵食品由来の微生物が、この新たな課題に対する生物学的なアプローチになり得ることを示せたのではないか」
— イ・セヒ博士(研究チームリーダー)
研究の限界について
ただし、これはあくまで試験管内実験とマウスでの検証結果です。人間の体内で同じことが起きるかどうか、また市販されている一般的なキムチを食べることで同様の効果が得られるかどうかは、現時点では確認されていません。
今日から実践できる具体的な対策
※以下は研究で直接証明された効果ではなく、研究結果や関連知見をもとにした「提案」としてご覧ください。
キムチを”特効薬”としてではなく、発酵食品の一つとして日常に取り入れる
今回の効果はヒトでの臨床試験を経たものではないため、過度な期待は禁物です。あくまでバランスの良い食生活の一部として楽しむのがおすすめです。
納豆・ヨーグルト・味噌などほかの発酵食品と組み合わせて、腸内環境を多角的にサポートしましょう。
プラスチック由来のごみを減らす工夫を続ける
ペットボトルの代わりにマイボトルを使う、食品用ラップの加熱使用を避けるなど、体内に入るナノプラスチックそのものを減らす工夫は、今すぐ誰でも始められます。
マイボトルでペットボトルを減らす
食品ラップの加熱使用を控える
プラ容器への直接の熱湯を避ける
フィルター付き浄水器で飲料水を管理する
続報をチェックする
ヒトでの効果や市販キムチでの再現性については、今後の研究の進展を待つ必要があります。研究の続報にも注目していきましょう。発酵食品と環境汚染物質の関係は、今後の健康科学における注目分野の一つになる可能性があります。
まとめ
キムチ由来の乳酸菌「Leuconostoc mesenteroides CBA3656」が、実験室内および疑似腸内環境でナノプラスチックを吸着し、マウス実験では体外への排出を促す可能性が示されました。
とはいえ、これは試験管内とマウスでの結果に限られ、ヒトでの効果や市販キムチでの再現性はまだ確認されていません。
また発表元がキムチの普及を担う公的機関である点も踏まえ、今後の追加研究を注視していく必要があります。
まずは発酵食品の一つとして、日々の食卓にキムチを無理なく取り入れてみましょう。過度な期待は禁物ですが、腸内環境のサポートという観点でも継続的な摂取は理にかなっています。
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。