3分でわかる!この記事の要点
結論
寂しさを紛らわせるための買い物が、逆に孤独感を深めてしまう可能性があります。
理由
物を所有して心を満たそうとする物質主義が、人とのつながりを遠ざけるからです。ただし物質主義にも種類があり、すべての買い物が悪循環を招くわけではありません。
アクション
買い物の前に本当に得たい感情を自問し、24時間待って友人に連絡を取りましょう。
夜のネットショッピングがもたらすもの
夜にふと寂しさを感じたとき、ついスマートフォンで必要のないものを買ってしまうことはないでしょうか。米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の研究者の紹介によると、こうした孤独感からくる買い物は、かえって孤独を深めてしまう可能性があることがわかっています。
孤独と物質主義の悪循環
心理学者のマックス・アルバーハスキー博士は、Psychology Today誌のコラム「Can Shopping Increase Loneliness?」(2026年6月22日)の中で、消費者研究者リック・ピータース氏らの長期的な調査をもとに、孤独感と「物を所有したい」という物質主義の関係性について解説しています。
オランダでの大規模追跡調査
この調査はオランダで行われ、2000人以上の成人を対象に2005年から2010年までの6年間にわたって、計5回の追跡調査が実施されました。
その結果、孤独を感じている人が物を買うことで心を満たそうとすると、物質主義の傾向が強まることが確認されました。そして、物への欲求が強まることで、さらに孤独が深まるという悪循環に陥ることが明らかになったのです。
「孤独→物質主義」の影響が強い
とくに注目すべき点は、「孤独感が物質主義を強める」影響のほうが、「物質主義が孤独感を深める」影響よりも強いということです。寂しさがきっかけとなって物を求める心理は非常に強力であり、私たちが思っている以上に、孤独と買い物の関係は根深いものだと言えます。
【調査の詳細と傾向】
※原論文では、「贅沢な暮らしが好きだ」といった項目で物質主義を測定し、「人から孤立していると感じる」といった項目で孤独感を測定していました。この悪循環は、独身者・男性・学歴が低い層でとくに強く表れる傾向も報告されています。
物質主義にも種類がある
物質主義であれば必ず孤独を深める、というわけではありません。原論文は物質主義を3つのタイプに分類しています。
幸福の手段としての所有
「これを買えば幸せになれる」と考えるタイプ。孤独感を強める傾向がある
心の穴を埋めるための購買行動。物が幸福の「手段」として機能しようとするが、人とのつながりを代替できないため孤独感が増幅します。
成功の証としての所有
「良い物を持つ人こそ成功者だ」と考えるタイプ。同じく孤独感を強める傾向がある
他人からの承認を求める購買行動。物が自己価値の「証明」となり、他者との比較が生じて孤独感が深まります。
楽しみのための所有
「単純に買い物や物を楽しみたい」というタイプ。孤独感を強めず、むしろ和らげる方向に働く場合がある
純粋な趣味や楽しみとしての購買。物自体の体験を楽しむため、他者との共有や会話のきっかけにもなりやすいです。
問題の本質は「買い物をすること」自体ではなく、「心の穴を埋めるため」「他人に認められるため」に物を求めてしまう動機にあります。
「小売療法」は本当に逆効果なのか
いわゆる小売療法(リテールセラピー)についても、研究結果は一枚岩ではありません。
購入行為が「コントロール感」を与える
ミシガン大学の2014年の研究では、購入という行為そのものが「自分の状況をコントロールできている」という感覚を人に与え、一時的な悲しみを和らげる効果が確認されています。
「幸せなヘドニスト」タイプは孤独感が和らぐ
一方で、買い物という活動自体を心から楽しんでいる「幸せなヘドニスト(快楽主義者)」タイプの人は、買い物によって孤独感がむしろ和らぐという報告もあります。楽しさが周囲の人との会話や共有体験に波及しやすいためだと考えられています。
鍵となるのは「何のために買うか」です。孤独を紛らわす手段として物質的な満足を追い求めると悪循環に陥りやすい一方、純粋な楽しみとして買い物を楽しむこと自体は、必ずしも悪いことではありません。
今日から実践できる具体的な対策
買い物そのものが悪いわけではありません。大切なのは、買い物をするときの自分の感情に気づくことです。
自問する
何かを買いたくなったときは、まず「この購入で自分が本当に得たい感情は何か?」を自問してみてください。心の底で求めているものが「人とのつながり」であるなら、買い物では根本的な解決にならない可能性が高いといえます。
例:「この商品を買ったらどんな気持ちになりたい?」→「安心感」「承認された感」「寂しさの埋め合わせ」などの答えが出たら要注意
24時間ルールを作る
購入を24時間だけ待つというルールを作ってみましょう。その間に友人を誘って話をしたり連絡を取ったりすることで、物以外の方法で心を満たす時間を作れます。
※24時間後に「それでも本当に必要だ」と思えたものだけ購入すると、衝動買いが大幅に減少します。
感情を記録する
買い物をしたくなったタイミングと気分をメモしておくと、自分がどんな感情のときに衝動買いをしやすいのか傾向が見えてきます。パターンを認識することが、悪循環を断ち切る第一歩です。
買い物の「目的」を区別する
「楽しいから買う」のか「心の穴を埋めるために買う」のかを意識的に区別しましょう。後者のサインが出たときは、買い物以外の行動に置き換えることが大切です。
代替案:散歩、音楽を聴く、友人に電話、読書、軽い運動など
社会的なつながりの質を高める
孤独感そのものへの対策としては、社会的なスキルを高めたり交流の機会を増やしたりするアプローチのほうが効果的な場合があります。新しいコミュニティに参加する、既存の友人関係を深めるなど、つながりの「質」に投資することが根本的な解決につながります。
つながりの質を高めるポイント:定期的な連絡、深い話をする時間、共通の趣味や活動、感謝の表現
まとめ
孤独感を癒やすための買い物が、逆に物質主義を強め、さらなる孤独を招く悪循環を引き起こす可能性があります。
ただし物質主義にも種類があり、「楽しみのための買い物」までもが悪いわけではありません。
何かを買おうとする前に自分の感情と向き合い、本当に求めているのが人とのつながりであるならば、行動を少し変えてみることが大切です。
24時間待つルールと、友人への連絡という2つの小さな習慣から、孤独と買い物の悪循環を断ち切る第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
出典・参考文献
Psychology Today「Can Shopping Increase Loneliness?」2026年6月22日
Pieters, R. (2013) “Bidirectional Dynamics of Materialism and Loneliness: Not Just a Vicious Cycle.” Journal of Consumer Research, 40(4), 615–631.
ScienceDaily「Materialism and loneliness: Is there really a vicious cycle?」
Medical Daily「Retail Therapy May Reduce Loneliness, But Only Among Those Who Love To Shop」
※内容は2026年7月時点の公開情報に基づきます
※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。
Zeveris公式サイトでは、ウェルビーイングに関する最新情報を発信しています。ご自身の健康投資の第一歩として、ぜひご覧ください。👇
https://zeveris-wellbeing.com/loneliness-shopping-vicious-cycle