魚介類に多い「タウリン」に、老化細胞を除去する働き? 大正製薬の最新研究が示した可能性

魚介類に多い「タウリン」に、老化細胞を除去する働き? 大正製薬の最新研究が示した可能性

3分でわかる!この記事の要点

結論

タウリンに、老化した免疫細胞を選択的に減らす働きがある可能性が細胞実験で示されました。

理由

老化させた免疫細胞にタウリンを加えると、正常な細胞は保たれたまま老化細胞だけが減少したためです。

アクション

まだ細胞実験の段階。過度な期待はせず、魚介類でタウリンを無理なく摂ってみましょう

大正製薬の研究で分かったこと

牡蠣やイカ、タコなどの魚介類に多く含まれるアミノ酸の一種「タウリン」。大正製薬の研究によると、このタウリンに、体内にたまった「老化細胞」を除去する働きがある可能性が新たに示されました。

同社は85年以上にわたりタウリンの研究を続けており、今回の成果は2026年3月に開催された日本薬学会第146年会で発表されたものです(プレスリリース公表は2026年7月28日)。

研究の中身をやさしく解説

年齢を重ねると、体の中には「老化細胞」と呼ばれる、いわば”働きを終えたのに居座り続ける細胞”が増えていきます。老化細胞は本来なら体から除去されるはずですが、残り続けると周囲に炎症を引き起こす物質を出し続け、体の不調やさまざまな加齢性の病気の一因になると考えられています。

中でも近年注目されているのが、免疫細胞の老化(免疫老化)です。免疫細胞が老化すると、感染症にかかりやすくなったり、全身の老化に影響したりする可能性が指摘されています。

そこで研究チームは、薬剤を使ってあえて老化させた免疫細胞(マクロファージ)にタウリンを加える実験を行いました。結果は次の通りです。

 

正常細胞への影響はなし

老化させていない正常な細胞には、タウリンを加えても生存率への影響は見られませんでした

 

老化細胞の生存率が低下

一方、老化させた細胞にタウリンを加えると、細胞の生存率が低下しました(タウリン1mM・3mM・5mMで比較、n=8)。

 

老化細胞の割合が統計的に有意に低下

老化細胞の目印となるタンパク質「p21」を指標に調べたところ、老化細胞の割合はタウリンを加えることで統計的にも有意に低下しました(n=4)。

これらの結果から、タウリンには老化した免疫細胞を選択的に減らす働きがある可能性が示された、というのが今回の研究の要点です。

 

ただし、次の点には注意が必要です

この実験はシャーレの中の培養細胞を使った試験管内(in vitro)実験であり、動物や人の体内で同じ効果が起きるかどうかはまだ確認されていません

発表は学会発表の段階であり、査読を経た論文としての公表はまだです

今回の発表元である大正製薬は、タウリンを含む製品(リポビタンシリーズなど)を扱う企業でもあります

実験で使われたタウリンの濃度は最大5mM(ミリモル濃度)ですが、これは人の血液中の通常のタウリン濃度(約44マイクロモル/L)の100倍以上にあたる濃度を、培養液に直接加えたものです。食事や通常のサプリメント摂取でこの濃度を再現できるわけではなく、「これだけ食べれば同じ効果が出る」と単純に言えるものではありません

そもそもタウリンにはどんな働きがある?

今回の「老化細胞を除去する可能性」は大正製薬が新たに示した研究成果ですが、タウリンそのものは以前から健康との関わりが研究されてきた成分です。今回の老化細胞の研究とは別に、これまで一般的に次のような働きが報告されています(動物実験による報告を含み、メカニズムがまだ完全には解明されていないものもあります)。

 

肝臓で胆汁酸の分泌を促し、コレステロール値の低下や肝臓の保護に関わる可能性

 

血管を広げる働きなどを通じて、血圧の上昇を抑える可能性

 

神経の興奮を鎮め、目や脳の働きを保つ可能性

 

皮膚の水分保持を助け、乾燥や老化を防ぐ可能性

 

継続的な摂取で、運動時の筋力維持につながる可能性

一日の摂取目安は500〜2000mg程度とされ、3000mg程度までは安全な範囲とする報告もあります。栄養ドリンクに配合され「疲労回復」のイメージが強い成分ですが、これらはあくまで従来から積み重ねられてきた研究に基づくものであり、今回紹介した「老化細胞除去」の研究とは別物です。両者を混同せず、それぞれ「どこまで分かっているか」を意識することが大切です。

今日から意識したいこと

今回の実験結果がそのまま食事や生活習慣の効果を証明したわけではない、という前提のうえで、無理のない範囲でタウリンを食生活に取り入れることは、一般的な健康習慣として選択肢の一つになりそうです。

 

タウリンは魚介類、特に貝類やイカ・タコに多く含まれています

(可食部100gあたり)

約1,130mg

牡蠣

約769mg

ほたて

約664mg

あさり

約520mg

たこ

約350mg

いか

約300mg

たら

 

調理法にも注意

タウリンは水に溶けやすい性質があるため、加熱すると煮汁に溶け出したり分解されたりして、食材そのものに残る量は減ってしまいます。

刺身など生で食べられる食材はできるだけ生のまま

加熱する場合は鍋や味噌汁・スープなど煮汁ごと食べられる調理法にすると、溶け出した分も無駄になりません

牡蠣は殻付きのまま調理する方が、むき身よりタウリンが多く残るとされています

普段の食事にこうした魚介類を意識的に取り入れ、調理法にも少し気を配ることは、無理なく実践できる一歩と言えそうです。

 

サプリメント・ドリンク剤を利用する場合の注意

サプリメントは特定の成分を凝縮して摂取するため、通常の食品では想定しにくい量を一度に摂ることになり、食品からの摂取では起こりにくい副作用や、持病の薬との相互作用が生じる可能性があります

タウリンの明確な副作用は報告されていないとされますが、過剰摂取した場合に吐き気・下痢・腹部の不快感、発疹、不眠、頻尿などが起こる可能性が指摘されています

持病がある方、妊娠中・授乳中の方、他の薬を服用中の方は、自己判断で摂取量を増やす前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします

まとめ

 

大正製薬の研究により、タウリンに老化した免疫細胞を選択的に減らす働きがある可能性が、細胞実験で示されました。

 

ただしこれは培養細胞を使った初期段階の研究であり、人の体内での効果や、食事から得られる量での再現性はまだ分かっていません。

 

過度な期待はせず、今後の研究の進展を見守りつつ、まずは魚介類をバランスよく食事に取り入れることから始めてみてはいかがでしょうか。

本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

 

出典

タウリンが老化細胞の除去を促すことを発見~健康寿命の延伸へつながる可能性~(大正製薬株式会社、2026年7月28日)

タウリンが豊富な食材は?タウリンの健康効果を取り入れるレシピ(大正製薬)

Taurine concentrations in plasma and whole blood in humans(PubMed)

「タウリンが不足すると現れる症状」はご存知ですか?タウリンが多い食品も解説!(Medical DOC、管理栄養士監修)

※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

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