「孤独だから不健康になる」だけではない――28年追跡調査で見えた、孤独と生活習慣の意外な関係

「孤独だから不健康になる」だけではない――28年追跡調査で見えた、孤独と生活習慣の意外な関係

3分でわかる!この記事の要点

結論

孤独感が生活習慣に影響するだけでなく、生活習慣がその後の孤独感に関わる可能性も示された。

理由

ノルウェー3,072人・28年追跡調査で、孤独感と運動量・BMI、生活習慣と孤独感低下の関連が判明したため。

アクション

孤独対策は心のケアだけでなく、人と自然に関われる活動を増やすことも一案です。

「孤独→不健康」だけでは説明できない?

「孤独な人は、不健康な生活習慣になりやすい」——そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。

人はもともと集団で暮らしてきた社会的な生き物で、孤独感はストレスや体への負担と関連しうることが、これまでの研究でも指摘されてきました。今回はその中でも、孤独感と日々の生活習慣(運動・飲酒・喫煙・BMI)が長期的にどう関わり合うのかに焦点を当てた、新しい研究をご紹介します。

確かに、孤独感がその後の運動量や体格の変化と関連することは報告されています。一方で、こうした生活習慣がある人ほど、その後の孤独感が低くなるという「逆方向」の関連もあるようです。

2026年8月3日、医学誌『Psychological Medicine』に、ノルウェーの人口ベースコホートを28年間追跡した研究がオンライン公開されました。青年期から中年期までの3,072人を対象に、孤独感と生活習慣(運動・飲酒・喫煙・BMI)が時間の経過とともにどのように関係するのかを、双方向から調べた研究です。

3,072人を28年間追跡してわかったこと

研究では、ノルウェーの「Young in Norway」という人口ベースのコホートから、1992年から2020年までに収集されたデータを分析しました。参加者は青年期(平均15歳)から中年期(43歳前後)まで、約28年間にわたって追跡されています。

孤独感はアンケートで、「まわりに人はいるのに、一緒にいる感じがしない」といった項目にどのくらい当てはまるかを答える形式で測定されました。研究チームは、他の要因の影響をできるだけ取り除く統計的な工夫をしたうえで、「孤独感→生活習慣」「生活習慣→孤独感」という両方向の関連を分析しています。

なお、ここでいう「生活習慣」は運動・飲酒・喫煙・BMIをまとめて指す言葉として使っており、飲酒や喫煙そのものを健康的な行動として推奨する意味ではありません。

 

孤独感が、その後の生活習慣と関連していたケース

青年期の孤独感が高い人は、その後の運動量がやや少なく、平均すると週あたり約14分の差がみられました

若年成人期の孤独感は、その後のBMIのわずかな増加(平均0.37ポイント)とも関連していました

一方、孤独感とその後の喫煙・飲酒の量との間には、はっきりした関連は確認されませんでした

つまり、孤独感がすべての生活習慣に同じように影響するわけではなく、確認された関連は運動量とBMIに限られていました。研究チームも、孤独感が生活習慣に与える因果的な影響については「限定的な裏づけしか得られなかった」と述べています。

 

生活習慣が、その後の孤独感と関連していたケース

青年期後半〜成人期初期にかけて、まったく飲酒しない人よりも、適度に飲酒していた人の方が、その後の孤独感がやや低い傾向がみられました

青年期後半に喫煙していた人は、その後の孤独感がやや低い傾向もみられました

青年期・成人期初期に適度な運動をしていた人は、その後の孤独感がやや低い傾向がみられました

ここで注意したいのは、これは「お酒を飲めば」「タバコを吸えば」孤独感が減る、という意味ではまったくないということです。研究チームが注目しているのは、こうした行動の背景にある人との関わりです。

青年期や若い世代にとって、飲酒や喫煙、運動といった行動の一部は、友人や周囲の人との交流の場と結びついていることが多く、行動そのものの効果というよりも、行動を通じて生まれる人との関わりが、孤独感の低下と関係している可能性がある、と研究チームは考察しています。

「孤独→不健康」だけではない、という視点

孤独について考えるとき、「孤独だから生活習慣が悪くなる」という一方向の関係を想像しがちです。

今回の研究が興味深いのは、そこに逆方向の可能性も示したことです。

孤独感 → その後の生活習慣や健康指標

だけでなく、

生活習慣 → その後の孤独感

という関係も分析されたことで、孤独と生活習慣が互いに影響し合う可能性が示唆されました。

 

研究の限界

もちろん、この研究だけで「生活習慣を変えれば孤独が解消する」と断定することはできません。観察データを長期間追跡した研究であり、生活環境や人間関係など、測定されていない要因が結果に影響している可能性もあります。研究チーム自身も、調査と調査の間隔が比較的長いため、より短期的な変化を捉えきれていない可能性や、生活習慣やBMIが自己申告に基づく点、結果がノルウェーの集団に基づくものであり他の国にそのまま当てはまるとは限らない点を、研究の限界として挙げています。

今日からできる「つながり」を増やす工夫

今回の研究は特定の孤独対策を直接検証したものではありません。そのため、以下は研究結果を踏まえた一般的なアイデアとして考えてみましょう。

 

人と一緒に体を動かす

ウォーキングやスポーツ、ダンスなど、一人で行うよりも人と交流できる活動を選んでみる。運動の効果だけでなく、自然な会話の場が生まれます。

 

定期的に人と会う予定をつくる

友人との食事や趣味の集まりなど、「次に会う予定」がある状態をつくる。予定があること自体が心の支えになります。

 

地域や趣味の活動に参加する

運動教室、サークル、ボランティアなど、自然に人と関われる場を探してみる。共通の興味があると話が弾みやすいです。

 

無理に人間関係を広げようとしない

大人数の交流が苦手な場合は、家族や友人との短い会話など、自分が続けやすい方法から始める。質より量です。

 

重要な注意点

重要なのは、「生活習慣を変えれば孤独がなくなる」と考えることではありません。また、今回の研究で飲酒や喫煙とその後の孤独感の低さとの関連がみられたからといって、飲酒や喫煙を対策として勧めるものでは決してありません。むしろ、体を動かすことなど健康的な活動と、人との交流を同時に取り入れられる環境をつくることが、一つのヒントになりそうです。

まとめ

 

ノルウェーの3,072人を28年間追跡した今回の研究では、孤独感がその後の運動量やBMIと関連する一方、青年期から成人初期の生活習慣が、その後の孤独感の低下と関連するという逆方向の関係も確認されました。

 

「孤独だから不健康になる」という一方向だけでなく、孤独感と生活習慣が互いに関係し合っている可能性を示す結果です。

 

研究から「これをすれば孤独がなくなる」とまでは言えませんが、心のケアだけでなく、人と自然に関われる活動や場所をつくることにも目を向ける価値がありそうです。

孤独は「解決すべき問題」ではなく、「自分の状態を見つめ直すきっかけ」として捉え、少しずつ行動を変えてみてはいかがでしょうか。

 

出典・参考文献

Psychological Medicine「The dynamic interplay between loneliness and health behaviors from adolescence to midlife: A Norwegian population-based cohort study」(2026年8月3日)

※内容は2026年8月時点の公開情報に基づきます

※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。孤独感や心身の不調について気になることがある場合は、医療機関などにご相談ください。

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https://zeveris-wellbeing.com/loneliness-health-habits-norwegian-cohort

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