3分でわかる!この記事の要点
結論
全米の皮膚科医62人によるデルファイ調査で、23種類の成分に専門家の合意が得られた。
理由
文献レビューで候補を選び、皮膚科医が複数回評価する「デルファイ法」で合意を導いたため。
アクション
まずは洗浄・保湿・日焼け止めという基本のケアを整えたうえで、肌悩みに合わせて成分を選びましょう。
「結局、どの成分がいいの?」——皮膚科医が出した答え
ドラッグストアにも百貨店にも、さまざまなスキンケア製品が並んでいます。レチノイド、ハイドロキノン、ナイアシンアミド……成分名を見ても、どれを選べばよいのか迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。
そんな疑問に対して、皮膚科医の専門的な知見をもとに一定の答えを示したのが、米ノースウェスタン大学医学部(Feinberg School of Medicine)が2025年7月8日に発表した調査です。
この研究では、全米43施設の皮膚科医が参加し、文献レビューなどから選ばれたスキンケア成分について、専門家による評価を実施。最終的に、23種類の成分について専門家間の合意が得られました。
研究成果は、米国皮膚科学会の学術誌『Journal of the American Academy of Dermatology』に掲載された査読済みの論文です。
※このニュース自体は少し前のものですが、特定の製品ではなく、専門家の合意に基づいてスキンケア成分を整理した研究として、現在も参考になる内容のため、ご紹介します。
「デルファイ法」で導き出した、専門家たちの合意
今回の研究で用いられたのが、「デルファイ法」と呼ばれる手法です。
デルファイ法とは、複数の専門家がそれぞれ意見を出し、その結果を踏まえて複数回にわたって評価を行うことで、専門家間の合意を導き出す方法です。
今回の研究では、まず文献レビューなどをもとに318種類の候補成分を抽出。その後、17人の皮膚科医による評価を経て83種類に絞り込まれました。
さらに、全米43施設の皮膚科医62人が2回のデルファイ調査に参加し、最終的に23種類の成分について専門家の合意が得られました。
研究チームを率いたムラド・アラム医学博士(ノースウェスタン大学皮膚科教授)は、こうした方法によって、数多く存在するスキンケア成分について専門家の意見を整理できたことを研究の意義として説明しています。
選ばれた成分は、しわ・小じわ、ニキビ、赤み、シミ・ダークスポット、毛穴、乾燥肌、脂性肌という7つの肌悩み別に整理されました。
中でも、専門家から特に高い支持を集めた成分は以下の通りです。
ミネラル系日焼け止め(96.8%)、レチノイド(96.8%)
レチノイド(96.8%)、過酸化ベンゾイル(95.2%)
ハイドロキノン(98.4%)、レチノイド(96.8%)
ワセリン(85.5%)、セラミド(82.1%)
レチノイド(93.6%)、過酸化ベンゾイル(80.7%)、サリチル酸(79%)
【重要な注意点】
ここで示されている割合は、「その成分が実際にその割合の確率で効く」という意味ではありません。デルファイ調査において、専門家がその成分の有効性を支持した割合を示すものです。
また、この研究は今回の調査によって各成分の効果を新たに実験・検証したものではありません。既存の研究や臨床経験などを踏まえ、専門家の間でどの成分について合意が得られるかを調べたものです。
そのため、「この成分を使えば必ず肌悩みが改善する」という意味ではない点には注意が必要です。
肌悩み別に見る、注目の成分
【ニキビが気になる方】
研究で特に高い支持を集めたのは、レチノイド(96.8%)と過酸化ベンゾイル(95.2%)でした。
レチノイドや過酸化ベンゾイルには、ニキビ治療に用いられている医療用医薬品があります。日本では、過酸化ベンゾイルは「ベピオゲル」などの医療用医薬品として、レチノイドでは「アダパレン(ディフェリンゲル)」などが医師の診察・処方のもとで使用されています。
一方、市販品では、比較的穏やかな作用の「レチノール」を配合した化粧品や、サリチル酸などを配合したニキビ用製品などがあります。
ただし、ニキビの種類や症状によって適切な治療は異なります。症状が続く場合や、炎症が強い場合には、自己判断で成分を重ねるよりも皮膚科を受診することをおすすめします。
【シミ・ダークスポットが気になる方】
最も高い支持を集めたのが、ハイドロキノン(98.4%)です。レチノイド(96.8%)も高い支持を集めました。
ハイドロキノンは、日本でも外用製品として入手できるものがありますが、製品によって配合濃度や扱いが異なります。
また、「シミ」といっても、老人性色素斑、炎症後色素沈着、肝斑などさまざまな種類があります。原因や種類によって適切な対処法も異なるため、気になる場合は皮膚科医に相談するとよいでしょう。
市販品を選ぶ場合には、成分表示や使用方法を確認し、肌への刺激にも注意してください。
【しわ・小じわが気になる方】
しわ・小じわでは、ミネラル系日焼け止め(96.8%)とレチノイド(96.8%)が高い支持を集めました。
ミネラル系日焼け止めとは、酸化亜鉛や酸化チタンなどを紫外線防御成分として使用するタイプの日焼け止めです。日本では「紫外線吸収剤フリー」や「ノンケミカル」などと表示されている製品もあります。
紫外線は肌の老化にも関係するため、日常的な紫外線対策はスキンケアの基本の一つです。
レチノイドについては、医療用医薬品と化粧品では扱いや作用が異なります。市販品ではレチノール配合化粧品などがありますが、使用時には製品の表示を確認しましょう。
【乾燥肌が気になる方】
乾燥肌では、ワセリン(85.5%)とセラミド(82.1%)が支持されました。
ワセリンは皮膚表面を保護し、水分の蒸発を防ぐ目的で使用される代表的な保湿成分です。日本のドラッグストアでも「白色ワセリン」などの名称で販売されています。
セラミドは、保湿クリームや乳液などの成分表示でもよく見られる成分です。
乾燥が気になるからといって、さまざまな美容成分を一度に追加するのではなく、まずは肌の状態に合った保湿を継続することが大切です。
【脂性肌が気になる方】
脂性肌では、レチノイド(93.6%)、過酸化ベンゾイル(80.7%)、サリチル酸(79%)が支持を集めました。
レチノイドと過酸化ベンゾイルについては、ニキビの項目と同様、効果の高い医療用は処方箋が必要です。
サリチル酸は、皮脂や毛穴のケアをうたう医薬部外品・化粧品に配合されていることが多く、日本のドラッグストアでも比較的購入しやすい成分です。
まずは「洗浄・保湿・日焼け止め」の基本から
今回の研究結果をスキンケアに取り入れる際、重要なのは「できるだけ多くの成分を使うこと」ではありません。
Northwestern Medicineでは、今回の研究を踏まえた実用的なポイントとして、洗浄・保湿・日焼け止めというシンプルな基本ケアを挙げています。まずは、
① 肌を適切に洗浄する
② 肌の状態に合わせて保湿する
③ 日焼け止めで紫外線を防ぐ
という基本を整え、そのうえで自分の肌悩みに合わせて成分を選ぶことが大切です。
【過剰なケアは避ける】
成分をたくさん取り入れれば、その分だけ肌によいとは限りません。研究チームは、製品を使いすぎることで肌への刺激が生じ、状態を悪化させる可能性についても注意を促しています。
新しい製品を追加する場合も、一度に複数の成分を取り入れるのではなく、肌の状態を見ながら少しずつ試すことをおすすめします。
※購入方法や製品分類に関する情報は、日本国内での一般的な販売状況をもとにした情報であり、今回の研究そのもので検証された内容ではありません。医療用医薬品を使用する場合は、医師の診察・処方に基づいて使用してください。
まとめ
ノースウェスタン大学が発表した今回の研究では、文献レビューなどから選ばれたスキンケア成分について、皮膚科医によるデルファイ調査を実施しました。
最終的に、全米43施設の62人の皮膚科医が参加した調査で、23種類の成分について専門家間の合意が得られました。
ただし、今回の研究はこれらの成分の効果を新たに臨床試験したものではなく、既存の研究や臨床経験などを踏まえた専門家間の合意を調べたものです。また、肌質や肌悩みは人によって異なるため、「この成分を使えば必ず改善する」というものではありません。
まずは洗浄・保湿・日焼け止めという基本的なケアを整え、そのうえで自分の肌悩みに合った成分を選ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。
出典・参考文献
Northwestern University, “Best skin care ingredients revealed in thorough, national review”(2025年7月8日)
Kang BY, et al. “Skincare ingredients recommended by cosmetic dermatologists: A Delphi consensus study.” Journal of the American Academy of Dermatology (2025)
Northwestern Medicine, “Top Skin-Care Ingredients Recommended by Dermatologists”
※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。肌の状態に不安がある場合や、症状が改善しない場合は、皮膚科専門医にご相談ください。
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