「受動的に画面を見る」時間は脳に影響する?テレビとショート動画に関する最新研究

「受動的に画面を見る」時間は脳に影響する?テレビとショート動画に関する最新研究

3分でわかる!この記事の要点

結論

テレビやショート動画をただ眺める時間は、脳の構造や認知機能に負担をかける可能性があります。

理由

長時間のテレビ視聴は脳の体積減少と、ショート動画は注意力や実行機能の低下と関連することがわかりました。

アクション

画面を見るだけの時間を減らし、頭を使う趣味や会話など「能動的」な活動に置き換えてみましょう。

ぼーっと画面を見続ける習慣、実は脳に影響があるかも?

仕事終わりや休日に、テレビをつけっぱなしにしたり、スマホでショート動画を延々とスワイプしたりしていませんか?

現代人にとって画面を見る時間はリラックスの一部ですが、米国の疫学研究(ARIC)や英コベントリー大学の研究によると、こうした「受動的な画面視聴」が脳や心に思いがけない影響を与えている可能性が指摘されています。

テレビであれスマホであれ、私たちがどのように画面と向き合うべきか、最新の知見を紐解いていきましょう

テレビ視聴とショート動画、それぞれの研究から見えてきたこと

「受動的な画面視聴」が及ぼす影響について、対象や指標の異なる2つの重要な研究結果が報告されています。

 

テレビ視聴と脳の体積減少の関連性(ARIC研究)

米国のNIH(国立衛生研究所)に関連する老舗の疫学研究「ARIC」の分析が、学術誌「Alzheimer’s & Dementia」に掲載されました。

この研究では、認知症のない成人1,712人20年以上という長期間にわたって追跡しました。その結果、テレビの視聴頻度が高い人ほど、前頭葉や後頭葉の「灰白質」の量や、記憶に深く関わる海馬周辺の体積が小さくなる傾向が見られました。

さらに、血管性のダメージを示す「白質病変」も多いことがわかっています。この影響は、運動量で調整しても残り、特に男性で顕著でした。

同じように座っている時間でも、デスクワークなどで「頭を使いながら座っている」人は、むしろ脳の体積が保たれていました。単に体を動かさないことよりも、頭を使わずに受動的な状態が続くことが脳への負担に関連していると考えられます。

※この研究は観察研究であり自己申告データに基づいているため、テレビを見ると必ず脳が萎縮するという因果関係を証明するものではありません。

 

ショート動画と認知・メンタルヘルスへの影響(コベントリー大学)

一方、若い世代で主流となっているTikTokなどのショート動画についても、懸念が示されています。英コベントリー大学が2025年に発表した系統的レビュー(まだ査読を経ていないmedRxivのプレプリント)では、519,101件のデータから17件の研究を厳選して分析しました。

その結果、18歳から29歳の若年層において、ショート動画の利用頻度が高い人ほど、以下の問題と関連していることが報告されました。

  • 注意力の乱れ
  • 計画や判断に関わる「実行機能」の低下
  • 感情調整の困難
  • 不安
  • 強迫的な使用

※こちらの研究は横断研究や自己申告データが中心であり、ARIC研究のように脳の体積(構造)を調べたものではありません。

 

2つの研究が示す共通テーマ

これら2つの研究をつなぎ合わせ、「ショート動画を見るとテレビと同じように脳が萎縮する」と結論づけるのは飛躍があります。しかし、「受動的に画面を眺め続けること」が、私たちの認知機能やメンタルヘルスに何らかの負担をかけている可能性は、デバイスを問わず共通のテーマとして注目されています。

今日から実践できる具体的な対策

テレビやスマホは現代生活に欠かせないツールであり、「絶対悪」ではありません。大切なのは使い方です。今日から以下のことを少しだけ意識してみましょう。

視聴時間を決める

ダラダラと見続けるのではなく「1日1時間まで」「この番組が終わったら消す」と区切りをつけましょう。

能動的な活動に置き換える

テレビや動画を見る時間の一部を、読書、パズル、手芸、日記を書くなど、頭を使う活動(能動的な活動)に変えてみてください。

誰かと共有する

動画やテレビを見たあと、その内容について家族や友人と感想を話し合うことで、受動的なインプットを能動的なアウトプットに変換できます。

まとめ

 

最新の研究から、テレビやショート動画を「受動的にただ眺める」時間が、長期的には脳の構造や認知機能に影響を及ぼす可能性が見えてきました。

 

画面を完全に断つ必要はありませんが、ぼーっとする時間を少し減らし、頭を使って楽しむ趣味や活動を日常に取り入れることが、健やかな脳と心を保つ秘訣と言えそうです。

 

「能動的」な活動への切り替えが、脳の健康維持に最も効果的なアプローチです。

 

出典・参考文献

Feter et al., Alzheimer’s & Dementia (2026): https://doi.org/10.1002/alz.71582

PsyPost: Brain scans reveal the hidden neurological cost of passive TV watching

Alzheimer’s & Dementia (Wiley): https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.71582

Arouch et al., medRxiv (2025): https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2025.08.27.25334540v1

※内容は2026年7月時点の公開情報に基づきます

※効果には個人差があります
※本記事は情報提供を目的としており、医師の助言や治療に代わるものではありません。

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