良い生活習慣を「1つ足す」だけで脳の萎縮が少なくなる可能性——国立長寿医療研究センターの研究

良い生活習慣を「1つ足す」だけで脳の萎縮が少なくなる可能性——国立長寿医療研究センターの研究

3分でわかる!この記事の要点

結論

生活の中で良い習慣を1つ追加するごとに、脳の萎縮が少なくなる傾向が確認されています。

理由

習慣が多い人ほど、2年間で脳の灰白質の萎縮が100〜200立方ミリメートル程度少なくなる関連が示されたためです。

アクション

週数回の散歩や早寝早起きなど、まずは今日から無理なく続けられる習慣を1つ始めてみましょう。

脳の健康は日々の選択と関連している

「年をとって物忘れが増えるのは老化だから仕方がない」と諦めていませんか?

特別な治療や高価なサプリメントに頼らなくても、私たちの日常のちょっとした心がけが脳の若々しさを保つ鍵になるかもしれません。

2022年に発表された国立長寿医療研究センター(NCGG)の研究によると、毎日の生活習慣を少し見直すことが、加齢に伴う脳の萎縮を少なくする可能性と関連しているというポジティブなデータが報告されています。

習慣を「1つ」増やすごとの脳への影響

私たちの脳の中には、記憶や学習、情報処理を担う「灰白質」という重要な領域があります。加齢とともにこの部分は少しずつ萎縮していく傾向がありますが、国立長寿医療研究センターの研究では、地域に住む中高年の方々を対象に生活習慣と脳の体積変化を観察・調査しました。

灰白質は、記憶や学習、判断、言語理解など、私たちの日常生活に欠かせない脳の働きを担う神経細胞が集まる領域です。加齢とともに灰白質は少しずつ減少していきますが、その減少が大きいほど認知機能の低下と関連することが知られています。そのため、灰白質の萎縮を抑えることは、物忘れの予防や記憶力・判断力の維持につながる可能性があると考えられています。

 

研究の結果

良い生活習慣を1つ多く実践している人ほど、2年間でこの灰白質の萎縮が100〜200立方ミリメートル程度少なくなる傾向があることがわかりました。

脳全体(約1,200,000立方ミリメートル)の体積から見れば微小な変化かもしれませんが、日々の積み重ねが確かな違いを生む可能性を示しています。

 

対象となっている生活習慣

食事

運動

睡眠

禁煙

節酒

社会参加

 

ここで重要なポイント

明日から突然これらすべてを完璧にこなす必要はないということです。「今まで全く運動していなかったけれど、週に数回は歩くようにした」「ついつい夜更かししていたが、睡眠時間をしっかり確保するようにした」など、どれか1つでも良い習慣を生活にプラスするだけで、脳の健康維持につながる関連が示されています。

 

将来の健康を考えると、早い時期からこうした習慣づくりに取り組むことが望ましいと考えられます。

今日から実践できる具体的な対策

脳の健康を保つために、以下の6つの習慣からまずは「1つ」だけ、自分が一番無理なくできそうなものを選んで生活に取り入れてみましょう。

 

睡眠

毎日決まった時間にベッドに入り、十分な睡眠時間を確保する。質の高い睡眠は脳のゴミ(タンパク質など)を除去する「洗浄システム」を活性化させます。

 

運動

週に2〜3回、少し息が上がる程度の散歩やウォーキングを始める。運動は脳の血流を増やし、神経細胞の新生(神経新生)を促進する可能性があります。

 

食事

毎日の食事に野菜や魚を意識して取り入れ、栄養バランスを整える。オメガ3脂肪酸や抗酸化成分は脳の炎症を抑え、神経細胞を保護する役割を担います。

 

節酒

お酒の量を減らし、週に何日かは休肝日を設ける。過度な飲酒は脳の萎縮を加速させ、認知機能の低下と関連する可能性があります。

 

禁煙

タバコを控える、あるいは禁煙外来などを利用して禁煙に挑戦する。喫煙は脳の血管を収縮させ、酸素や栄養の供給を阻害する可能性があります。

 

社会参加

地域の集まりやボランティア、趣味のサークルなどに参加して人と交流する。社会的つながりは脳の刺激になり、認知機能の低下を予防する効果が期待されます。

 

長続きのコツ

まずは1つを習慣化し、慣れてきたらもう1つ足していくのが長続きのコツです。無理にすべてを同時に始めようとすると、どれも続かずに終わってしまうリスクが高まります。まずは「朝の散歩15分」や「毎日23時就寝」など、小さくて確実にできることから始めましょう。

まとめ

 

脳の健康を保つための第一歩は、魔法のような方法ではなく、毎日の基本的な生活習慣にあります。

 

良い習慣が多い人ほど脳萎縮が少ない傾向がみられたという事実は、私たちの選択が未来の健康と密接に関わっていることを教えてくれます。

 

今日から1つ、あなたの未来のために脳に良い習慣を足してみませんか?

「完璧を目指す」ではなく「1つずつ増やす」こと。
それが、脳の健康を長く保つ最も現実的で効果的なアプローチです。

 

出典・参考文献

国立長寿医療研究センター(NCGG)「良い生活習慣と脳の老化」

Otsuka R, Nishita Y, Nakamura A, et al. “Basic lifestyle habits and volume change in total gray matter among community-dwelling middle-aged and older Japanese adults.” Preventive Medicine. 2022.

 

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